pair days -episode-【番外編】 (ページ26)

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目を逸らして黙ったまま彼がボタンを外すのを待っていた。こうやって近づくと胸が高鳴るけど、それが嬉しくて私は彼ともっと近づきたいのかも知れない。夏休み明けたら会う時間が減ってしまうから寂しくないように彼との距離を縮めたい。前に心の準備が出来たら俺の部屋に来てと言われたことを思い出す。でもどうやって彼の部屋に行きたいと伝えたら良いのか悩んでしまう。

「A大丈夫？気分悪くなってない？」

『え、大丈夫だよっ、少し考えごとしてた』

「そう？良かった。ごめんね、今取れたよ」

『ありがとう拳くん、乱れたから直さなきゃ』

彼ににっこりと笑って軽く手櫛で髪を整える。

「ううんAの綺麗な髪が切れたりしなくて良かった」

私の頭を撫でると絡まっていた部分の髪をすーっと指先で滑らせて毛先にキスをした。その一連の動作に見入ってしまってナチュラルな彼の格好良さにポーッとして顔が熱くなる。私を見てふわりと微笑んだ。そこで我に返り恥ずかしくなって下を向くと彼がA可愛いと呟いてくる。へっ！？と焦ってしまう、顔を上げられないでいると声が聴こえた。

「戻ってこないと思ったらこんなところでイチャついてたのか」

『え、河村さんっ！ち、違います。あの拳くんのボタンに髪が絡まってしまって取ってもらってました、ごめんなさいっ』

キッチンの入り口からこちらを覗く河村さんと目があって慌てて説明する。

「Aの言う通りだよ、イチャついてないから今戻るよ。Aもう少し待ってて」

『う、うん分かった。祥のところにいるね』

彼は河村さんと戻っていった。思わず深いため息を吐きながらその場にしゃがみ込む。どうして拳くんってあんなに格好良いんだろう？会うたびに大好きな気持ちが膨らんでいく。彼が好きだからやっぱり今度頑張って伝えるしかないよね。

このあと次のデートの相談してみよう、今週末は１２時間クイズがあるから来週末がいい気がする、少し離れていたほうが私の心の準備も出来るはずだ。あっそうだ、ご飯を作りに…って言えば自然と彼の部屋に行きたいと言えるかな？そうしようかなと私は彼の仕事が終わるまで色々考え込んでいた。
　
　
　