pair days -episode-【番外編】 (ページ14)

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一通り必要な家電を選んで購入から配送の手配まで済ませて、いい買い物できたねと彼女に話しかけると目を合わせないままに、そうだねと答えてくれる。

『そろそろ帰ろうかな？拳くん明日早いもんね』

「ん、でもその前に家に寄ってくれる？Aに大事なもの渡さなきゃいけないんだよね。ごめん持ってくるの忘れてた」

えっ！？とこっちを見て目が合うとまた逸らして下を向く。慌てるものだからズレた眼鏡を直してる。もしかして今日伊達眼鏡してきたのも俺を見ないようにシールド的な役割にでもしてるのかな？伊達眼鏡越しだって見えちゃうのにね。こんなに俺を見ないようにしているAが可愛くて仕方ない。

『それなら、す、少しだけね』

そういう彼女を連れて自宅へと帰った。玄関前でここで待ってるからと言い張る彼女に家の中入らないとご近所さんに見られちゃうよ？と言い聞かせて招き入れる。ほら上がってと渋る彼女をリビングへ通した。ちょっと取ってくるから待っててよと声をかけて寝室へ移動した。

もちろん昨日公開したshorts動画の黒シャツ黒ネクタイに着替えるためだ。彼女はあれを見て俺のこと格好良いって思ってくれたに違いない。それで昨日は今日会うのをやめようと提案もしたし今日は俺と目を合わさないようにしていた。

よっぽど彼女のツボだったのかな？愛されてるのが分かって嬉しくなるけどね。あれを撮るときAに格好良いって思ってもらいたかったからあんなふうに反応してくれてめちゃくちゃ嬉しいよね。

『け、拳くんまだ？』

しびれを切らした彼女が扉越しに声をかけてくる。ちょうどネクタイも締めたので、入ってきていいよと声をかけた。真面目な彼女は律儀にノックして扉を開けて中を覗き込む。目が合うと彼女はドサッと持っていた鞄を落として口元を押さえる。みるみると顔が赤くなっていく彼女ににっこり笑ってみせた。

『な、なんで、その格好してるのっ！？』

慌てて扉を閉めようとしている彼女の手を掴んだ。至近距離でニヤリと笑って、似合う？と聞いてみる。勢いよく首をぐいっと横に向け目を逸らす。また逸してくれちゃって俺の彼女可愛いよね？ドアレバーから手を離させて彼女の手を引いて部屋の中に引き入れる。

『え、ちょっと、ま、待って、む、むり』

「えー何が無理なのかな、俺には分かんないけど？」
　
　
　