pair days -vol.8-

未来への道1 ページ41

　
2022/6/9
　
　
　
家から彼と手を繋いで歩いていく。こんなに長い時間、外で手を繋いだのは初めてかもしれない。

彼は出会った頃からYouTuberで知られていて恋人になる頃にはテレビ番組にも出演していた。それに私もテレビ出演するようになったからあまり外でくっついたりとかしなかった。

別にそれが不満だったわけではないけど、何だか凄く嬉しい。そうか結婚したらこれが普通になるんだよね。それに子供が生まれたら真ん中にいて３人で手を繋ぐんだ。

想像したら幸せな気持ちになった。


「Aどうしたの？」

『拳くんと手を繋いで歩くのが幸せ』

「なにそれ〜もう可愛いな」

ふふっと２人で笑い合う。彼が絡ませた指をギュッと握り直す。

「帰りは腕組んで帰ろうか」

『えっ…そう言えば腕組んだことないね』

手を繋ぐより密着するからやったことはない。どうしよう、ドキドキする。緊張しちゃうかも？

『それは緊張するかも？』

「えーこれからはどんどんやっていこうよ、Aと２人でそうやって歩きたい」

「俺嬉しいんだよ？俺の彼女こんなに可愛いんだよって見せびらかして歩きたい」

彼に衝撃的なことを言われ思わず足を止めてしまった。嬉しいけど恥ずかしいかもしれない。

『そ、そんなこと思ってたの？それちょっと恥ずかしい』

「恥ずかしがらないでよ、いつも思ってたよ。でもAは俺の仕事の邪魔したくないって外では遠慮気味だったでしょ〜そして藤宮優として認知もされてきた」


私だってQuizKnockのファンなんだ、彼の人気なところもよく目にする。それを邪魔するようなことはしたくなかった、目立って彼が悪く言われるようなことがあったら耐えられない。それに今度は彼とのスクープを撮られたくなかったのもある。


『だって拳くんのファンもいっぱいいるし、写真撮られないよう目立たない方が良いのかなって思っちゃうの』

「分かってるよ、だから今まで何も言わなかったでしょ。でもこれからはそうじゃないから堂々とAと歩くよ」


そう言って彼は私の手をひいて再び歩き出した。
　
　
　

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