pair days -vol.5-

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テーブルに並べられたメニューをみると感動する。逆再生オムライスなんて動画を思い出しちゃう。東大主シリーズ面白いよね。また観たくなっちゃった。

他にもたくさん動画を思い出させてくれるメニューがあって楽しくなる。エマダツィにセットされている棒付きムラサキピリ辛動物には笑ってしまった。


『お料理美味しいね』

「うんもちろん美味しいけど、俺はAの作ったものの方が美味しく感じるよ」

『そんなことないでしょ、プロに比べたら私のなんてまだまだだよ』


拳くんがそう言ってくれるのは嬉しいけどね。このカレーの味付けも美味しいな。カレーも今度拳くん用に研究してみたい気がする。


「だってプロが作ったものはAの愛情入ってないんだよ？美味しさも当然違ってくるよね」


彼はにこにこと微笑んでストレートに言ってくれる。ちょっと恥ずかしくなる。カフェの内覧会なのにデートしている感じになるのは、彼のこの態度のせいかな。他のライターさんや社員さんもたくさんいるのに良いのかなって思ってしまう。


彼の視線から逃れようと目線を下に落とせば、テーブル上の彼と目が合った。このコラボカフェはテーブル上にも動画メンバーやQuizKnockカルタの写真があって楽しめるようになっている。

このコラボカフェ用の写真、拳くんの爽やかな笑顔が素敵で格好良いのだ、写真の彼を見るたびにドキッとしてしまう。拳くんに囲まれているみたいで少し困る。


「Aこっち向いて」

『えっ？』

彼に呼ばれてそちらを向けば、何だかニヤニヤしている。

『なに拳くん』

「Aがさっきから俺の写真見てるなって、そんなに俺のこと見たいなら、目の前の俺を見てよ」

『気づいてたの！？』

まさか気づかれているとは思わなくて、恥ずかしくて顔が赤くなるのを感じた。彼の視線がより熱を帯びた気がする。

「Aが何を見てるかなんて分かるよ、ほら本物が目の前にいるよ」


彼は私の手の上に手を重ねてくる。ポスターと同じ表情を見せてくれる彼に胸を高鳴らせてしまった。同じ顔で笑いかけてくるなんてずるい。
　
　
　

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