pair days -vol.3-

お家デート後-side兄- 1 ページ16

　
side 兄
　
　
　
「お疲れ藤枝」

「あれ河村さん来てたんですか？」

「まあね」

「お疲れ様です、まあ俺はもう帰りますけどね」

仕事も一段落したし今日も疲れたな…夕食どうするかな〜と考えながらデスク上を片付ける。

「あれそういやふくらさんってまだいんのかな？」

ボソッと呟いてAに聞こうとスマホを取り出してると河村さんがふくら？と聞いてきた。

「ああ今日ふくらさん有給取って家でAとデートしてます」

「へーそれ藤枝は家に帰って大丈夫なの？」

「えっなんでですか？」

「恋人同士が、家でデート、でしょ？」


１０秒ほど思考が停止した……それはつまりそういうことかと気づいた。マジか。何故か焦って手にしていたスマホを落とす。


「えっあ、俺帰っちゃ不味いってこと？」

「フンフーン〜♪ん、藤枝どうしたの？」


鼻歌を歌いながら執務室に入ってきた伊沢さんは俺の様子がおかしいことに気づいて近寄ってきた。河村さんは俺のスマホを拾ってデスクに置くと伊沢さんに向かって言った。


「藤枝が帰宅出来るか出来ないかの瀬戸際」

「はい？なに言ってるんですか河村さん」

「伊沢さん！俺家に帰っていいと思いますかっ」

伊沢さんの肩をつかみ揺さぶりながら詰めよると伊沢さんは慌てている。

「ちょっ、藤枝落ち着け！どうした？」

「ふくらさんとAが家でデートしてるでしょ」

「え、あっ！ああそういうことね、どうだろ？」

「まあ大丈夫じゃない？さすがにふくらも藤枝が帰宅するのは想定してるでしょ」

「いや河村さんが言ったんでしょ！爆弾投げるだけ投げてあとは退くってなんなんですか！」

「だから落ち着け藤枝！河村さんも藤枝で遊ばないの！」

「あまりにも藤枝が自然に帰ろうとしてるからこれからはそういうこともあるんじゃない？って助言ですよ」

「そ、それならそう言ってくださいよ！俺めっちゃメダパニ食らいました」

「まあ混乱はしてたな」

伊沢さんは先程の俺の取り乱し具合を思い出したのかクスッと笑ってから一つ提案してくれた。

「とりあえずAちゃんにご飯食べてから帰るとか予告しておけば？」

「なるほど、それが安全ですね」

「よしっ藤枝ご飯行こう、たまには奢ってやる」

「ありがとうございます伊沢さん」

「悪いね伊沢」

「えー河村さんは自分で払ってくださいよ」

「よっＣＥＯ！」


奢られようと乗っかってきた河村さんはふざけて伊沢さんに掛け声をかける。この２人の空気感は楽しくて俺は好きだなと思う。
　
　
　

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