pair days -vol.1-

お守り ページ6

　
2015年3月
　
　
　
長い受験生活を終えて無事に合格した。一緒に東京大学を受けた双子の兄も合格したので喜びも２倍だ。

祥とはずっと同じ学校…高校に続いてまさか大学まで一緒になるとは思わなかった。少し口うるさいところもあるけれど祥がいると安心するし良かったかな。


「大学合格おめでとう」

『ありがとう…お母さんやお父さんのサポートのおかげだよ』

「ふふっAにこれをプレゼント」

『えっこれってお母さんが大事にしてたネックレスだよね？』


シルバーのチェーンにトップには乳白色の天然石ムーンストーンが静かに煌めいている。お母さんと私と祥が生まれた６月の誕生石だ。


「お守り代わりかな」

『え、でも』

「ムーンストーンはね、持ち主に最良のパートナーを巡り合わせてくれると言われているのよ、お母さんはもうお父さんに出会ってるから今度はAに出会って欲しいな」

『私は好きな人いないし、小説があればいいよ』

「そんなこと言わないの、今に素敵な人に出会うわ」

『お父さんが色々言いそうだから別に良いかな』


少々過保護で面倒な父を思い浮かべた。誰と付き合っても反対されそうだなと考える。それに私には小説があるし書いてるときが一番幸せ。


「お父さんのことは気にしなくていいの、必ずお父さんも認めてくれる相手がどこかにいるから」

『そうかな、もうすぐ２人で暮らし始めるしお父さん祥に色々言ってそうな気がするよ』

「祥隆もAのこと大事にしているから祥隆が認める相手なら大丈夫よ」

『２段階認証かな？』

「あらAも言うわね」


お母さんと２人で笑いあったあの日、本当にそんな人と出会えるなんて私は思ってなかった。
　
きっと大学生になってからも勉強と小説の日々。そんな日常をずっと過ごしていくのだと…最良のパートナーなんて言われても私にはピンと来ていなかった。
　
　
　

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