pair days -vol.1-

兄卒業1 ページ47

　
2019/3下旬
　
　
　
『卒業おめでとう』

「ありがとうA」


本来なら私も一緒に卒業してたはずだけど、休学していたため今日は祥を見送る立場。祥は就職活動をせずに法人化が決まっているQuizKnockに就職予定。私は４月から復学予定だ。

同じ場所で同じ刻を過ごしてきたけど、これからは違う場所で過ごしていくのは少し寂しい気もする。


『友達と写真はもういいの？』

「ああ夜に飲み会参加するし今からオフィス行くわ、Aも行こうよ」

『オフィス？』

「一応卒業報告してこようかなって」

『そっか、でもどうして私も？』

「復学前の仕事の詰め込みで忙しくて引っ越し以来行ってないでしょ、たまには顔出さなきゃ」

「それに復学することも伊沢さんに言っておけば？」

『そっかそうだね』
　
　
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　
　
　
「お疲れ様でーす」

『お久しぶりです、お疲れ様です』

オフィスに入ると仕事をしてる人もいれば、クイズ談義をしている人達もいて相変わらず賑やかなオフィスだった。

「おっ藤枝卒業おめでとう」

「ありがとうございます、無事卒業してきました。伊沢さんは荷物とか引き上げたんですか？」


伊沢さんは大学院を中退してQuizKnockのCEOとして歩んでいく。とても思いきった決断、だからこそみんな伊沢さんについていくんだと思う。


「まだ、早く取りに行かないとね、Aちゃんは今日どうしたの？」

『たまには顔を出そうかと思いまして、あと４月から復学するのでそのご報告も兼ねて』

「おぉそっか復学頑張ってね」

『はい』

伊沢さんが仕事に戻っていくと今度は川上さんが祥に声をかけてる。

「卒業おめでとう、藤枝に先を越されたな」

「越えちゃいましたね、まあでも川上さん休学してたじゃないですか」

「まあね」

「来年はこうちゃんに祥彰、川上さんにAと卒業する人多いっすね」

『そっか一緒に卒業目指しましょうね、川上さん』

そう言って両手でガッツポーズを作って笑ってみせる。川上さんが静かに微笑んでくれる。

「藤宮さん…あっAさんと一緒に卒業できるとええね、頑張ります」

『ふふ川上さん未だに私のこと藤宮って呼びますね』

「すみません、作家のAさんの印象が強くて」

『応援してくれるファンあっての作家活動ですから嬉しいですけどね』
　
　
　

2→←4

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す