向日葵を食せ！ [ em ] (ページ3)

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「エミさーん、入って大丈夫？」

軽やかな音が3回響く。私が大丈夫ですよと応えれば、彼女はひょっこりと顔を覗かせた。

「どうしました？」

黒いコックシャツと黒いロングエプロン姿の彼女は、にっこりと笑う。

「今ね、ガトーショコラ作ったの。試作だから数ないんだけど、良かったらどうかなって！」

「ガトーショコラ…！いいですねー、頂きます」

「良かった、できたら持ってくる！1番はエミさんだけだから、みんなには内緒だよ？」

「んふふ、了解。毎回1番最初に食べさせてくれるん、ほんま嬉しいわぁ」

「エミさんには沢山お世話になってるもん。あ、もちろんみんなもね？」

Aさんはじゃあまた後で、と部屋を後にした。

「私も、紅茶でも用意しますかね」

読んでいた本を綴じて、ケーキ食べたらまた仕事せぇへんと、と気合を入れる。

紅茶の茶葉やコーヒー豆が並ぶ棚の前で、彼女が作るお菓子に合うものを選ぶ時間も好きだ。

彼女は、紅茶もコーヒーも美味しいと言って飲んでくれる。

とても美味しそうに飲むものだから、私もついつい沢山淹れてしまうのだけれど。

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