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「A、待ち合わせ時刻過ぎてる」
「うわ、マジ？……マジじゃん」
医務室内にある時計を見れば、河村に言われていた時刻を5分過ぎている。
私は持っていた試験管をラックに差し込んで、彼の元に歩み寄った。
医務室の鍵を閉めて、ポケットに仕舞う。誰かに無断で入られたりしたら困るため、一応外に出る度に戸締りはしていて。
「カジノでの立ち振る舞い、配られたシャンパン片手に持って背筋伸ばして立ってりゃ良いから」
「え、そんな雑に教えるの？」
「教えることないの。今日はドレス仕立ててもらうから、まず採寸ね」
「採寸！？ちょ、聞いてない！」
「言ってないから」
「嘘だろお前」
あまりにも突飛すぎる河村は、逃げようとする私の手首をがっちり掴んで歩いている。逃げられない。
ここに来てから少し太っちゃったんだけど。
そもそも今日下着ちゃんとしたの着けてたっけ。
浮かぶのは河村に言ったら鼻で笑われそうな不安ばかりだが、私も一応乙女である。
「はい、ここ」
焦げたような飴色の重厚感ある扉を開き、目で入れと促された部屋。
横にあるプレートには、その部屋主の名前が書いてあった。
「……ここ河村の研究室じゃん」
「そうだけど。なに、自室のが良かった？」
「え、採寸ってもしかして河村担当なの？」
「………早く入って」
「嘘だろお前！」
精一杯逃げようとするが、まぁ手首はがっちり掴まれたまま。
河村は薄笑いを浮かべて私を見下ろしていた。その目はひどく楽しそうで、いつか絶対に毒盛ってやろうと決心を固める。
「別にいいでしょ。裸になれなんて言わないし、裸になったところで今更」
「おい馬鹿それ以上やめなさい！入るから、もう黙って」
彼のムカつくほどに整った顔、の整った口を手で抑えて、逃げるように中へ入った。
＿＿＿＿＿私と河村は、幼馴染みである。
河村に誘われここに来て、医療に特化した人が居ないからとすぐに歓迎された。
感謝はしている。
それ以上でも以下でもない、本当にただの友達だ。少しばかり付き合いが長いだけで。
だから、誰も悪くなんてない。はずなのだ。
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See.(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます。他の作品まで見て下さりとても嬉しいです！めちゃめちゃ励みになります、更新頑張りますね！ (2020年8月16日 23時) (
レス) id: 1d0369df29 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - こんばんは、もうひとつの作品、[QK] 錯 視 世 界 に て 、も楽しく拝読させていただいております、ゆゆです！本作もとても面白い作品で更新が待ちきれない！ってくらい気に入っております笑(決して更新を急かしているわけではございません！) See.様、応援してます！ (2020年8月16日 22時) (レス) id: 91c48177af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：See. | 作成日時：2020年8月15日 22時
