10.心臓に触れる ページ39
side.kwmr
「はい、これ取り付けてきた企画書」
��ずっと待ち望んでいた��案件の書類をAに渡せば、彼女は嬉しそうにこちらを見た。
カジノの襲撃から、かれこれ1ヶ月半が経過していた。
「え、天才？」
「まぁね。伊沢も、計画は早いほうがいいですからって立ち上げてくれた。……そっちは、本部潜入どうだったの」
3日前にA社から帰ってきたAは、ああそれね、と視線をデスクに移す。
どうしてか、最近山本とひどく距離が近いせいで彼を誤魔化すのが大変だったのだ。Aは知らないだろうけどさ。
「まぁ医療班だから、大した情報は得られなかったけどさ。……あのね、機密事項のデータがひとつ改変されてたんだって。もう取り返しつかないレベルで」
「………まじ？」
「うん。でさぁ、こっちに鳳さん来なかった？あの子と話がしたい。……あと、山本をその間私に近付けないようにしてほしいかな」
「それなんだけどさ、どうしたの彼は。最近やけに距離近いじゃん」
「いやわかんないんだけど……1ヶ月前、ご飯行った時の会話聞いちゃったんだよね」
「えぇ、なにそれ。わからん」
「まぁ、山本が私のこと好きって話を聞いちゃったの。……見ないふりしてたんだけどねぇ」
そう言って、Aはデスクに突っ伏した。
そうか、山本。ついに。
「あー……それに関してはしょうがないね。山本はなにも事情を知らないし、お前もお前で話す訳にもいかないし」
「…でも、この計画が立ったら話すって決めてたから」
Aは、前を向こうとしていた。
「へぇ、いいじゃん」
今までなにがあっても周りを頼らず、自分のことを話さず、知らぬ、存ぜぬを突き通してきたAが。
やはり、この組織に来たのは正解だった。
「鳳さんと話して、計画ちゃんと立てたら、私もっかいA社のほうに行くわ」
「いいけど、気を付けなよ」
「当たり前でしょ。で、全部終わったら、向き合うつもり」
Aはさらに深く腕に顔を埋めた。
言っといて恥ずかしくなるなよ。
「それは、なにに？」
「山本」
「へぇ〜？いいじゃ〜ん」
「ニヤニヤすんな、山本のこと考える時間増やすってだけだから」
「それでも充分だと思うよ。全部、ちゃんと、教えてあげなよ」
「……わかってるよ」
Aはデスクに突っ伏したまま、大きく溜息を吐いた。
あのAが、恋愛、ねぇ。
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See.(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます。他の作品まで見て下さりとても嬉しいです！めちゃめちゃ励みになります、更新頑張りますね！ (2020年8月16日 23時) (
レス) id: 1d0369df29 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - こんばんは、もうひとつの作品、[QK] 錯 視 世 界 に て 、も楽しく拝読させていただいております、ゆゆです！本作もとても面白い作品で更新が待ちきれない！ってくらい気に入っております笑(決して更新を急かしているわけではございません！) See.様、応援してます！ (2020年8月16日 22時) (レス) id: 91c48177af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：See. | 作成日時：2020年8月15日 22時
