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side.ko
「山本さん、ガチ寝」
「わーお、マジ？」
あの後からペースが早くなっていって、山本さんは寝落ち。
健やかに、仄かな笑みを浮かべて眠るのを見るに、幸せな気分なんだろう。
いいことだけど、この場で寝られたら持ち帰るの面倒だからやめてほしい。
「起きないね」
「起きても多分歩けないよ」
山本さんはあまり潰れるまで酔わないけど、潰れると本当にめんどくさい。
伊沢さんと福良さんといい勝負じゃないかな、この3人だけは潰したくない。
「私抱えるから、行こっか。もう会計してあるからさ」
「え、あ、ご馳走様です。……抱える？」
「ん？うん、山本くらいなら余裕よ」
そう言って、Aさんは言葉通り山本さんを持ち上げた。
何事もないかのように抱えて進むものだから、俺は慌てて荷物を持って後を追う。
「え、ちょ、Aさ、ま、マジ？な、なにもん？」
「ちょっと筋肉痛あるだけだって。……てか、ほんとにさん付けは抜けないね君ら」
「こんなん見せられたら更に無理で……無理だって」
あからさまに嫌そうな顔をする。
どうしてそんなに敬語が嫌いなのか、むしろここまで来ると病気じゃない？
「私ね、両親同士が敬語で話す家だったの。だから、敬語は嫌い」
「……えっと、その」
「ああいや、仲が悪いとかじゃないよ。そっか、山本とこうちゃんには言ってなかったか」
そう言って、Aさんは人通りの少ない夜道で振り返る。
山本さんをお姫様っこしたまま、悲しそうに眉を下げて笑った。
「私ね、両親が死んじゃったの」
衝撃的なその一声は、俺に盛大に伸し掛る。
「そんな気にしないでね、今ここに居るのは、まぁそのおかげだからさ」
今度は朗らかに笑って、置いてくよ？なんておどけて見せる、いつもの調子で。
コツ、コツ、とひとつしか聞こえない足音を聞いたまま、なんとか俺も足を進める。
初めてだった。
自分のことを一切話さない彼女から、
なにかを聞くのは。
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See.(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます。他の作品まで見て下さりとても嬉しいです！めちゃめちゃ励みになります、更新頑張りますね！ (2020年8月16日 23時) (
レス) id: 1d0369df29 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - こんばんは、もうひとつの作品、[QK] 錯 視 世 界 に て 、も楽しく拝読させていただいております、ゆゆです！本作もとても面白い作品で更新が待ちきれない！ってくらい気に入っております笑(決して更新を急かしているわけではございません！) See.様、応援してます！ (2020年8月16日 22時) (レス) id: 91c48177af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：See. | 作成日時：2020年8月15日 22時
