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「河村か、おはよ」
「……おはよ」
時刻は午前10時。
朝とも昼とも言いきれないこの時間。
食堂に居るのは寝坊したか朝食を食べ損ねたかのどっちかだろう。
俺は書類整理に片が着いた朝の4時に寝て起きたらこの時間だったから、まぁ前者。
そしてさっき渡された伊沢からの書類を読みながら、パスタのキノコとトマトを食べるの渋っていたところ。
ふと目の前に現れた人影に顔を上げれば、俺の皿に残されたキノコとトマトを嫌そうな顔で見ている河村だったわけ。
「まーた残してんの」
「キノコとトマト嫌いなの」
「……ちょっとは食べれば」
「キノコの笠のとこ食べた」
「あぁ………そう……」
河村は深い溜息を吐く。
俺だって好きで残してる訳じゃなくて、体が受け付けないんだからしょうがない。
クリーム系の味付けが施されたキノコとトマト以外綺麗に食べ終えた皿。どうやら河村も同じメニュー。
「河村も寝てたの？」
「……いや、朝から医務室居た」
「へぇ、そりゃまたなんで」
「まぁちょっと用事。そしたらこんな時間でさ、腹減って来た」
「ふーん？……あ、医務室戻るならAに書類渡して欲しい」
「良いけど、どれ？」
「えーとね………あ、これだ」
コーンスープの入っていた陶器の器を置いて、書類3枚ほどを河村に手渡す。
書類内容は納品書の控えやらなにやら。
「あ、てかこの前Aのドレス仕立てに行ったんでしょ？」
そういえば、と話題を切り出せば、河村はパスタを口に入れて俺を見上げた。もぐもぐと無感情な顔は相変わらず整っている。
「うん。それがどうかしたの」
「いや、どんなのか気になってさ〜。須貝さんがめっちゃ褒めてた」
「あー、なるほど。……まぁ、確かにあいついつも医療服と白衣だし」
「スタイルも顔も良いのに勿体無い、とも言ってたよ」
「……それAに言ってあげなよ、調子乗るから」
「え、絶対やだ」
……確かに、Aだって綺麗な顔だ。
女性にしては背は高いし、手足はスラリと長く、顔も小さい、気がする。
思い返せば普段から化粧の薄い顔…もしかしたらしてないかもしれないけども、それでも端正だし。
無造作すぎるまとめ髪、残念すぎる性格、いつも似たような医療服で気付かなかったけれど。
「Aはやる時はやるからね。……まぁ、潜入の時を楽しみにしてなよ」
河村は、片側の口角を上げる。
ニヤリ、そんな効果音が似合いそうな不敵な笑みだった。
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See.(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます。他の作品まで見て下さりとても嬉しいです！めちゃめちゃ励みになります、更新頑張りますね！ (2020年8月16日 23時) (
レス) id: 1d0369df29 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - こんばんは、もうひとつの作品、[QK] 錯 視 世 界 に て 、も楽しく拝読させていただいております、ゆゆです！本作もとても面白い作品で更新が待ちきれない！ってくらい気に入っております笑(決して更新を急かしているわけではございません！) See.様、応援してます！ (2020年8月16日 22時) (レス) id: 91c48177af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：See. | 作成日時：2020年8月15日 22時
