純金製の水曜日 ｰ 8 ページ8
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僕の知り合いの河村さんが、1人増えた。
端的に言うと河村さんとAさんは復縁し、つい先週結婚式を挙げた。
僕は2人の結婚が決まってすぐに引っ越し、殺したはずの感情に思いを馳せて泣いて。
結婚式で見た純白のドレスはまるで天使のようで、とても綺麗で、思わず胸が高鳴った。
式中はじくじくとひたすらに胸が傷んでいて、今にも張り裂けそうだったけど。
しかし結婚を改めてお祝いしてからは、比較的落ち着いていた。
あの日殺し損ねていた感情を、やっと殺せたからだろうか。
河村さんは特定の時刻までには仕事を終わらせるようになったし、左手には鈍色が光るようになって。
メンバーは皆喜んでいた。
同棲してた彼女と別れたと話した数年前は、あまりにも悲惨で目も当てられないほどに落ち込んでいたから。
僕だけが、胸につっかえを抱えていたまま。
そのつっかえも漸く、漸く取れたのだ。晴れやかな気持ちで、なんだか仕事も捗る。
「おはよう〜」
河村さんがオフィスに出勤してきた。
今日も今日とて左手薬指には鈍色が光っている。
河村さんは僕の隣に座って、PCを起動させた。
「河村さん」
僕はモニターから目線を外さず、隣の彼の名前を呼ぶ。
「ん？」
「……ご結婚、おめでとうございます」
改めて、言おうと思った。
河村さんは少し目を見開いて、けれども深くは聞かないで。
「うん。……ありがとう。山本のおかげ」
河村さんは、幸せそうにはにかんだ。
僕はモニターを見たまま、その笑顔を横目に見る。
＿＿＿＿胸の奥、本当に奥底が、じわりと傷んだ気がして。
殺したはずの感情があった、いや、また殺せなかった感情の一欠片だった。
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See.(プロフ) - ゆゆさん» 初めまして、コメントありがとうございます。ゆっくり気ままにやってきますのでよろしくお願いしますー！ (2020年8月12日 9時) (
レス) id: 1d0369df29 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - はじめまして！こんばんは〜！See.さんの小説いつも楽しく読まさせていただいてます！まだ読みはじめたばかりですが、大好きなお話集なのでこれからも応援してます！頑張ってください！ (2020年8月11日 22時) (レス) id: 91c48177af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：See. | 作成日時：2020年7月30日 18時
