窮 鼠 、 猫 を 噛 め ｰ kwmr ページ24
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「河村さん、バナナ好き？」
「……嫌いじゃないけど、なんで」
「あ、じゃあこれあげます。私の口には合わなかったので」
「先輩に残飯処理させるとはいい度胸だね、A」
「新たな可能性を試すのも大事なことですよ、人聞きの悪い」
都合よく言葉を言い換えて、僕にお菓子を押し付ける可愛くない後輩。
押し付けられたパッケージには、『バナナコーラ』と何故くっつけてしまったのか疑問しか浮かばない名詞2つ。
僕に押し付けたお菓子のことはもう記憶の隅に置いたのか、Aは某チョコのパイのお菓子を空けている。なんだこいつ。先輩なんだけど、僕。
黄色と赤みがかった黒の2色で構成されたチャック袋を開き、茶色のソフトガムを1粒口に入れた。
………噛む度に嫌悪感が口内を支配していく。ハッキリ言おう、美味しくない。
中を見れば残りは3粒で、適当なメンバー1人に1粒ずつ配れば無くなるかな。残すのも捨てるのもなんだか嫌だし。
「A、それ僕にも」
「え"、まだ私のお菓子取るんですか」
「………」
「わ、わかりましたって！はい。コーヒーも入れてきますよ〜っと」
期間限定味チョコのパイは2つ入りだったらしく、残りの欠片を口に詰め込んだ彼女はチョコレート色のトレイを僕の前に置いた。
さらに、そそくさと立ち上がり、コーヒーを入れに行ってくれたようで。
いたせりつくせり、と思ったがそもそもあいつのせいで僕は咀嚼を躊躇っている。当然だ。
なんとか飲み込めるくらいまでに噛み、練ったそれを一気に喉に押し込んだ。……不快な後味が残っているが、まぁいい。元凶は今頃胃へと向かってるのだ。
チープなトレイからチョコのパイを掴んで、サクリと1口齧ってみる。美味しい。ふわりと広がる抹茶が濃厚で、先程までの不快感を一気に取り去ってくれる。
……だけど、これは果たしてチョコのパイなのか。抹茶のパイでは？……なんて。
「コーヒーブラックでしたよね、まぁ砂糖とミルク欲しいならセルフでお願いしまーす」
コトン、と僕のお気に入りのマグカップを手元に置く。顔を上げれば、改めて見つめられたAはたじろいだ。くつくつと笑いが込み上げてくる。
「え、何笑ってんすか、怖、え、怖〜…お菓子のせいで可笑しくなっちゃった？」
つくづく、どこまでも可愛くないやつだ。ほんとに。
＿＿＿＿＿＿＿AA。
僕の可愛くない後輩、それが出会って約1年間変わらない、彼女に対する印象だった。
窮 鼠 噛 め よ 、 猫 ｰ 2→←シェイクスピアは憧れた純愛を ｰ 6
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See.(プロフ) - ゆゆさん» 初めまして、コメントありがとうございます。ゆっくり気ままにやってきますのでよろしくお願いしますー！ (2020年8月12日 9時) (
レス) id: 1d0369df29 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - はじめまして！こんばんは〜！See.さんの小説いつも楽しく読まさせていただいてます！まだ読みはじめたばかりですが、大好きなお話集なのでこれからも応援してます！頑張ってください！ (2020年8月11日 22時) (レス) id: 91c48177af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：See. | 作成日時：2020年7月30日 18時
