シェイクスピアの憧れた純愛を ｰ 5 ページ22
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Aさんが来なくなって、約3週間。週に3時間の選択授業、酷く足取りが重くなったのを感じる。
＿＿＿＿自分があの3時間を楽しみにしていたことを、初めて知った。
授業を熱心に聞いてくれる、自分に少なからず好意を寄せてくれる、そんな生徒1人居るだけで心は健やかになるのだと。
「……ねぇ、福良さん大丈夫なの」
「いや、駄目じゃないですか？」
学年室では、須貝さんと河村が話している。聞こえてるけど。科目準備室より人が少ないし、ボーッと出来るかと思ったのに。
……いや、学年室に常駐してるのは僕達くらいだからいつもと変わらないけど。他の先生は科目室だし。
「福良さーん、元気出してよ。これあげるからさ」
須貝さんは何かを握った拳を突き出した。
コロンと手のひらに乗せられたのはいちご味の飴で、赤いチープな包装はどこか見覚えのあるもの。
「それ、Aさんの好きなやつじゃないですか」
「ぶふっ」
河村の淡々とした声に思わず噎せてしまった。変なところに入り、水を勢いよく飲む。……そうか、河村はAさん…3-Fの担任だったっけ。
「……動揺しすぎ」
「う、うるさい」
「これAがくれたやつだから有難く食べてね」
「ぐふっ、ごほっ」
再び噎せる。あ、ダメださっき飲んだ水が鼻に来た。痛い。
「……そんなに動揺すんなら、聞いてみたら？」
河村は僕を冷たい目で見た。須貝さんも呆れたようにため息をついて、ジトリとした目線を送り賛同する。
「…だ、って」
「聞きに来ないってことは、分からないってことじゃないの」
「……いや、でも」
「………明日。Aさん日直なので学年室呼んどきますね」
「職権乱用じゃん！」
河村は日誌をパタンと閉じる。河村クラスの日誌はハイレベルなボケがちょっと教師の間で話題だ。
「生徒との関係を��円満��にするため、ね。」
静かな聞き取りやすい声は部屋に響く。それが何を言いたいのか、何となくわかっていた。
「……わかってる」
＿＿＿＿僕達は、あくまで教師と生徒。
それ以上でも、以下でも。ましてやそうなることなんて、そうなりたいだなんて、思ってないけど。
「Aさんのためにも、ね」
河村は全てを見透かすかのようにそう呟いた。
…Aさんは、僕をどう思っているのだろうか。
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See.(プロフ) - ゆゆさん» 初めまして、コメントありがとうございます。ゆっくり気ままにやってきますのでよろしくお願いしますー！ (2020年8月12日 9時) (
レス) id: 1d0369df29 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - はじめまして！こんばんは〜！See.さんの小説いつも楽しく読まさせていただいてます！まだ読みはじめたばかりですが、大好きなお話集なのでこれからも応援してます！頑張ってください！ (2020年8月11日 22時) (レス) id: 91c48177af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：See. | 作成日時：2020年7月30日 18時
