09.「優しい人、なんですね……。」 ページ10
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智「翔ちゃんに似て本当に面白いね。」
「お、面白いって言われたの初めて……」
智「はは、俺だけが知れる秘密的な」
「ひみつ？」
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面白いこと言う人だなって思った。
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水槽に大野さんの顔が反射してて、その顔はふわふわ微笑んでいる。
私はそんな大野さんを少し遠くから見つめていた。
スニーカーは白、ジーパンは少しお洒落で、膝のとこに穴が開いてる。…ダメージジーンズ？
白いTシャツの上に某ブランドの名前がプリントされたパーカー。
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一見ダサい格好だけど、大野さんには似合っていて
…ここまで来ると、もしかしたら末期症状？
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大野さんは屈んでたのを起き上がらせて、ふーと息を吐く。
そうして、白いスニーカーで地面を蹴って少しこっちに寄ってきてまた、水槽に目を移した。
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智「……俺さー、サメに食われてみたいんだよね」
「え？…ふふっ、おかしな人。」(笑)
智「あ、やーーーっと笑った。」
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今度こそ、白いスニーカーで地面蹴って私の方に歩み寄る大野さん。
そんな大野さんの目は、サメを見たときの目よりもキラキラ輝いていた。
私は首を傾げて、大野さんを見つめる。
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智「いや？…さっきのシュモクザメ事件で泣きそうだったからさ。」
「え…」
智「元気なさそうだったし、…俺のせいかなって」
「……」
智「とりあえず、……笑ってくれて、よかった」
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ぶっきらぼうで、女の子のことなんてなんも考えてないように見えた。
……なんも考えてないように見えていた。
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「優しい人、なんですね……。」
智「…え？」
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この人は、案外優しい人なんだなって。
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作者名：成瀬
| 作成日時：2017年2月14日 21時
