22.嫌いなものは気まずい空気感 ページ23
.
.
「隠してる……、ですか。」
智「うん。…そう。」
「…例えば、どんなことですかね。」
.
これは、心理戦みたいなものじゃないかって
心の中で察した。
.
大野さんの目の奥はすごい剣幕で
…逃げれない、そんな空気感を作り出した。
.
.
智「他人には話せないようなこと。…とか。」
「…そんなの、人間誰にでもあります。」
智「そうだね、…俺にもある。」
「中には人に言いたくないことだって、あるんです。」
智「…俺は、Aちゃんの全てが知りたい。」
「…え？」
智「何もかも全てを。…全て知って、Aちゃんのための人間になりたい。」
「……。」
智「だから、教えてくれない？」
「ずるい………。」
智「…え？」
「大野さんは、ずるい人。」
.
.
レモンティーの湯気が、そんな言葉を遮った。
後に残るのは虚しさだけ。
あと、心のつっかえ。
.
…あの時、確かに見たのはカズで。
その隣には可憐なかわいらしい女の子。
………見るからに彼氏と彼女の関係性らしくて。
.
.
…心の奥にある、嫉妬の感情がむくむくと顔を出している、そんな感覚である。
……でも、その感情はなんとか、封じ込めて。
この場はなんとか凌いだ。
.
.
智「………。」
.
大野さんの期待の含んだ目が、私の目を捉える。
……あぁ、負けちゃう。
多分、もうちょっとしたら決め手の一言打ってくるよね…。
.
焦る心に比例して、溢れ出てくる冷や汗。
……。
.
さっきいた2人は、いつの間にかいなくなっていた。
そそくさに姿を消したのだろう。
.
.
.
.
23.ワタベアオイ→←21.男なんて所詮簡単なもんよ。…sideW
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 170人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：成瀬
| 作成日時：2017年2月14日 21時
