02.頼りは兄とその彼女 ページ3
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「……。」
キッチンに立つ。
アイツがいないとなんか物足りなくて、寂しくて。
ゲームしてる効果音がないだけでこんなにも寂しいのだろうか。
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「お兄ちゃんとこ行くか……」
出た結論はこれだった。
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景色に色がない。
公園の奥に凛々しく立つ桜の木だって、…綺麗な夜桜のはずなのに。
感動と言った「感動」がない、無く思える。
そんな自分に呆れてはっと鼻で笑う。
…寂しいでしょう？悲しく見えるでしょう……。
そうだ寂しいさ。
彼氏に捨てられた哀れな女だよ。
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目の前に立つマンションを見上げる。
カズと暮らしたあの家だってこれくらい高かった、見上げると首が痛くなるほど。
そんなマンションに足を踏み入れた。
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ピンポンと押す。
はーい、という鈴のような声が聞こえてきた。
……可愛らしいな、なんて。
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鈴香「あーーー！Aちゃん！久しぶりー」
「お久しぶりです」(笑)
水色のエプロンを付けてびっくりした顔。
彼女の名前は
私のお兄ちゃんの彼女さん。
可愛らしい雰囲気に加え、とても話すのが上手で、……とにかくモテてたそう。
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鈴香「いつぶりだー？和也くんと来た時だからー…、うー…３カ月ぶりかー。」
「もうそんな経つんですね。…というか私カズとは別れましたけどね。」
鈴香「は！？あんないい子…！」
「…フラれたんですよねー」
鈴香「はー！？こんな可愛い子振るなんて考えられねえ！」
「口悪いですよー……」
鈴香「立ち話もあれだし、上がって上がって！」
「お邪魔しまーーす」
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ピンクのスリッパを履いて奥のリビングに入る。
お風呂場に人影があったから、…多分お兄ちゃんが掃除してるんだろうなって思った。
なんて反応するのかなんだか楽しみだ。
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鈴香「今日ハンバーグなんだけどね？もう一人分作っておくわね」
「ありがとうございまーす…」
鈴香「翔、いま掃除してるからね。もうちょっとで戻ってくると思うから。その間テレビ見てていいよー」
「はーい」
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作者名：成瀬
| 作成日時：2017年2月14日 21時
