12.イルカの飛沫と、恋の比例 ページ13
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遠いと思ってたショーの会場は、会話に華咲かせてたからなのか、その足取りは短く感じた。
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智｢席は、上？下？｣
｢えっ、私決められない……｣
智｢うわー、優柔不断。｣
｢す、すみません｣
智｢じゃあ中間ね。｣
｢いやいや、大野さんも優柔不断っぽいのじゃないですか。(笑)｣
智｢うるっせー。(笑)｣
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正直言って、距離は近くて
腕と腕はぴったりくっついてる。
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ーーー…もしかして。
周りの人から見たら、私たちはカレカノに見えてたりするの？
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｢……。｣
智｢……ん？(笑)｣
｢いいえ、なんでも……。｣
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無意識に、大野さん見つめて
変に大野さんを戸惑わせる。
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これが、恋？なんて、勘違いしちゃってたり
そうだとしても、大野さんは絶対彼女とかいるし。
だから、変にどっぷり嵌っていくことなんてなかったから心のどこかで安心してた。
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アナウンスが、あと5分でショーが開演するということを知らせる。
そんな知らせに、湧く会場。
隣に座る大野さんは、唇とんがらせて真剣にスマホ見つめてる。
かわいいな、なんてね。
どこか、守りたくなるような
大野さんはそんな人だなって思った。
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｢大野さん、…始まりますよ？｣
智｢……うん。楽しみだね｣
｢はい。｣
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どこか切なげな顔したのには、気づきもしなかった。
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ショーが開演した。
イルカが飛び出して、一つ大きなジャンプを繰り出してのと同時に
心臓が、高鳴った。
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智｢……Aちゃんって、彼氏とか……、いたりする？｣
｢えっ……？｣
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遠慮しがちに紡がれた言葉。
俯いた顔と、少しだけ紅く染まった耳。
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……守りたくなるような、存在。
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｢……いる。……って言ったらどうなります？｣
智｢そういう言い方するってことは、いないの…？｣
｢いないです。｣
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彼氏と別れてから、たった1日。
……ちょっと罪なことをしてるような、……そんな罪悪感に否まれた。
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作者名：成瀬
| 作成日時：2017年2月14日 21時
