Season -autumn

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いい気分で酔っ払って。

解散したのは日付が変わった後だった。

ベッドに潜り込んで、電気を消す。

今日あったことを振り返りながら、長い１日だったと目を閉じた。

来年の春から本格的にはじまる新しい仕事に不安と期待でドキドキしたし、ばあちゃんからの手紙に久しぶりにあの本を開いた。

これから金木犀や銀木犀の香りがしたらきっとばあちゃんを思い出すだろう。

そして、大野さんのコンクールの話。

その後でみんなで食べて、飲んで、笑って…

一人だったらきっと、こんなんじゃなかっただろうな。

ふいにそう思った。

みんながいるから励まされるし、前を向ける。

悲しいことがあっても、一人じゃないと思えるのはひどく心強い。

最初に足を踏み入れた時にはシンと冷たかったこの家が今はひどくあったかく思えるから不思議なものだ。

それはきっとみんながいるからなんだと思う。

もしかしたら、ばあちゃんが俺に遺したのはそういうことなんじゃないか。

謎の答えの一端が見えたような気がしたところで意識が途切れる。

でも、何れにしても幸せなのは間違いなかった。

その日、夢の中でなぜか俺はばあちゃんとこの家でチョコレートケーキを食べていた。

今日は大野さんの誕生日で、このケーキは松潤が作ったんだと自慢げに話す。

ばあちゃんはそれをうれしそうに聞いていた。


「俺さ、新しい店の店長やるかもしれないんだよね」

「ふふふ、雅紀なら大丈夫よ」


その言葉に俺も笑う。

そういえば、それってばあちゃんの口癖だったな。

会うたびにそればっかり言われてた気がする。

俺はひどくくすぐったい気持ちで目覚めた。

昨夜飲みすぎたせいか、喉が渇く。

だけど、それを不快には思わなかった。


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