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出来上がったアレンジは赤が目に眩しいものだった。
真っ赤なダリアと少しピンクがかった色味のバラを中心に、柔らかなグリーンを3種類使って表情を出している。
我ながら満足のいく出来だった。
「お、いい感じ。翔くんぽいわ」
「へ?これ翔さんに…なの?」
大野さんの呟いた一言に、セロファンを切っていた手を止めて思わず顔を上げる。
大野さんはふふふと意味深に笑っていた。
「なんかさ、寂しくて。んで、ちょうど店の前通ったらアレンジメントが飾ってあるの見えたからさ…翔くんの代わりにいいんじゃねーかって」
「そういうこと!」
「リビングのローテーブルにでも飾れば、ちょっとは華やかになるかなって思ってさ」
「それは…うん。それに赤っていうのは確かに翔さんっぽい」
「だろ?」
大野さんが得意げに笑う。
俺は翔さんが帰ってきたらびっくりするだろうな、と思いつつ一緒に笑った。
その時ふと、大野さんになら今朝オーナーに言われたことを相談してみようかっていう考えが浮かんだ。
手を動かしながら、言葉を選びつつさりげなく口にする。
「ねぇ、大野さんはさ…もし今までと全然違うオファーが来たらどうする?」
「全然違うオファー?」
「うん、自分がこれまでにやってきたテイストじゃなくてさ…」
言いながら、それが果たして正しい例示の仕方なのかと疑問に思いはじめる。
新しいお店ではあるけど、俺の場合は仕事の内容はそこまで変わらないような気がするし…
俺の妙な問いかけに少し考えた大野さんはゆっくりと口を開いた。
「んー、わかんねーけど…俺だったらよろこんでやってる気がするな。ダメかもしんねーけど、少なくとも挑戦するチャンスはもらえたんだからさ…やってみて、話はそれからじゃない?逆にやらなかったら後悔するかも」
「ふぅん、そっか…そういう捉え方もあるのか」
俺の言葉に大野さんが目を細める。
目の前にはセロファンに包まれたアレンジメントが出来上がっていた。
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LILY(プロフ) - リカオンさん» リカオンさん、わーい!楽しんでもらえてうれしいです(≧∀≦)翔さんとニノちゃんの関係にも、気づいてくださってるー♪ふふふ、頑張れの声援を受けて相葉さん勇気を出しましたよ!あの子もまた、ちゃんと…ね。ちょっと大人な幼馴染の恋らしく描けてるといいな♪ (2018年6月6日 6時) (レス) id: ec7070c826 (このIDを非表示/違反報告)
LILY(プロフ) - ちぃさん» ちぃさん、コメントありがとうございます♪ふふふ、応援の甲斐あって、相葉さん覚悟を決めて頑張りましたよー(≧∀≦)…って、お返事遅くなっちゃってごめんなさい!これからも引き続き応援よろしくお願いします。 (2018年6月6日 6時) (レス) id: ec7070c826 (このIDを非表示/違反報告)
リカオン(プロフ) - きゃー抱きしめられた!あ~楽しいです。ごまかしちゃう相葉さんに大きく納得!なんだか進展があってワクワクしてます。翔さんが頑張れって言ったってことは、ニノちゃんの気持ちを知ってるんですね!もどかしかったけど、ついに告白かな?みんな味方だから頑張れ~! (2018年6月5日 17時) (レス) id: 55b986bc0f (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 相葉ちゃん頑張れーッ!しか言えません(^^; お話いつも楽しみにしてます♪ (2018年6月5日 9時) (レス) id: 1172241616 (このIDを非表示/違反報告)
LILY(プロフ) - えーすさん» えーすさん、鋭い!(笑)嵐の夜、二人きり、お風呂上がりのあの子…と条件が揃っていたのに、ね> <でもでもほんの少しだけお互いに意識した夜だったかも!?おっしゃる通り季節はまだ秋…これからです(笑) (2018年5月23日 4時) (レス) id: ec7070c826 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:LILY | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/Colorfulstory/
作成日時:2018年5月19日 4時