Season -autumn

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向かったのはまた違った繁華街。

こっちはいくつもデパートがあって、一棟丸ごとメンズだけを集めたビルもある。

なんとなく敷居の高さを感じていたけど、入ってみたら意外と面白かった。


「へぇ、一箇所にまとまってるから楽だね」

「こんなブランドも入ってたんだ」


カジュアル向けからシック、エレガントとフロアごとに違ったテイストに別れている。

今日の目的とは違うけど、後学のためにいろいろと見て回った。

翔さんがそういえば…とスーツ用のシャツを手に取る。

俺も松潤も普段はスーツなんて着ないから、ひどく新鮮だった。

水色の綺麗な織りの入ったものや白のプレーンなボタンダウン、出張用にシワになりにくいもの。

同じシャツでもいろんなものがあって、俺は興味深く見ていた。


「これ、どうかな？」

「それだったらこっちの白の方がいいかも」


当ててみる翔さんに松潤が迷っていた方の白を横に並べる。

そっちの方が似合って見えたから俺もそっちを指差した。


「お、マジか。じゃあこれにするわ」


翔さんがうれしそうに会計を済ませに行く。

似合うかどうかって意外と人に見てもらわないとわからなかったりするから、少しは役に立てた気がしてうれしくなった。

カジュアルフロアでは松潤が気になっていたというカーディガンも見つかったものの、実際の感触が雑誌から想像していたのとは少し違ったらしい。

松潤は悔しそうに諦めた。

そういうことだってままある。

画像でいいなと思って見たものが実際は違ったり。

だからこうして見て回るのが一番の近道だったりする。

そろそろ時間も夕方にさしかかってきていて、俺たちは息を吐いた。


「意外と見つかんないもんだね」

「探してるとなかなかね」

「まあ、そういう日もあるよね」


口々に慰め合いつつ、最後に近くにあるセレクトショップを覗くことにした。


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