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「……私だったら…」
何か、特別な理由がなくても触れてみたり、手に取ってみたり、したくなるもの。
私にとってのそれは何だろう。
装丁にたくさんのこだわりが見えたり、それが私の好みだったりする本とか、何度も読み返してしまうくらいに思い入れのある本とか…ふかふかのぬいぐるみ、とか？
色々なものを思い浮かべてみて、ひとつ、この場に存在するものを思いついた。
「あのね悠馬くん。手を、出してほしい」
「え…！？」
なんでそんな変な声を出すのだろう。『こんなところで何を言い出すんだ』みたいな反応をされてしまった。机の下にしまわれている手を少しだけ机の上に出して欲しい、と頼むのは、そんなにおかしなことだった？
「いや、ちが…そうだよなごめんそんなわけないよな！」
「なにが…？」
やけに早口の謝罪と共に、手のひらを上にして机の上に出してくれる。
…別に急かしたつもりもなかったのだけれど、何をそんなに慌てて、謝ることがあるのだろう。相変わらず、謎なところで慌てたり謝ったりされることがあるなとほんの少しだけ思う。よくわからないし、少し気になるのだけれど、今は私の疑問を解消することよりも悠馬くんの質問に答えることを優先しようかな。
右手をほんの少し彼の手のひらに触れさせてみる。
「…えっと？」
少し、戸惑わせてしまったみたい。…突然手に触られたら、私だって戸惑うと思う。
スキンシップとか、まだ、恥ずかしさみたいな感情が勝ってしまうことが多いのだけれど。それでも…というか、なんというか。手を握るのは、好きなのかもしれない。
「引力…かな」
触れたくなるのは、悠馬くんの手だから。悠馬くんが触れてくるとき、それを受け入れられるのは、相手が彼だから。
ふたつのものがお互いに惹かれ合う力のことを引力と呼ぶのなら。私がこの力に何かわかりやすい名前をつけるとしたら、この言葉がぴったり似合う気がする。
「あれ？これだと吸引力と、あまり変わらない？」
吸引力、だとそのものが他のものを引き寄せている、みたいな感じがするからそれぞれの言葉の持つ意味は少しちがうと思うけれど。音はほとんど一緒だったかも。
「いや。うん。そっちのほうがAっぽくていいな」
「…ありがとう？」
少し考えるような顔をした後、笑った。
ぽい、のかはわからないけれど。言葉自身の持つの意味とか、どういう意味でその言葉を選んだのかとか。そういうものを丁寧に汲み取ってもらえるのは、うれしいな。
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nano*(プロフ) - 波々さん» 波々様。コメントありがとうございます。気に言って頂けたみたいでとっても嬉しいです！応援のお言葉もありがとうございます。更新ペースはゆったりになってしまうと思いますが、これからもたくさん楽しんでいただけるように、頑張りますね。 (5月19日 8時) (
レス) id: da0c6565c0 (このIDを非表示/違反報告)
波々 - とても優しくて素敵な文章で一気に読み進めてしまうほどでした♡ 更新応援しております。大好きです¨̮ (5月18日 3時) (レス) @page30 id: 0a0e155cba (このIDを非表示/違反報告)
nano*(プロフ) - あーるさん» あーる様。コメントありがとうございます。作品のことを好きになっていただけてとっても嬉しいです。応援も、ありがとうございます。これからも精いっぱい頑張りますね (2022年12月31日 18時) (レス) id: da0c6565c0 (このIDを非表示/違反報告)
あーる(プロフ) - 大好きな作品です。ずっと応援しています (2022年12月28日 21時) (レス) @page15 id: 46a6446a1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nano* | 作成日時：2022年10月25日 0時
