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壱馬side
3人で囲む食卓は、なんだか不思議な感覚もあり、新鮮でもあり、妙な安心感もあった。
料理も、昔から食べてきた馴染みの母親の味、そして、いつの間にか俺のいつもの味になったAの料理。
無限に入る俺の胃袋に入るだけ詰めて、腹も心も満たされた。
片付けは俺とAでして、その間に母親には風呂を済ませてもらうことにした。
少し迷いながらも、スムーズにお皿やコップを片付けていくAはやっぱり台所においての要領を分かっている人なんだろうなと思った。
壱馬「っしゃー、終わり!」
『お疲れ様でした。ありがとうございます』
壱馬「こちらこそ、ご馳走様でした」
お互い向かい合って頭を下げて、それぞれに感謝を伝える。
壱馬「部屋行く?」
『ううん。今日は帰ります』
壱馬「え、帰るん?」
てっきりこのまま一緒に居られるものだと思っていた。
『本当に急に来ること決めたから、家の事も明日のお店のことも何も出来てないの。お母さんにもそう伝えさせてもらってるし』
俺の家に来ることを選んでくれた嬉しさと、申し訳なさ、寂しさが一気に押し寄せる。
『久しぶりだから、本当はもう少し壱馬くんと一緒に居たかったけど』
そんな俺の気持ちを知ったかのように、少し照れながらそう伝えてくれるA。
愛しくて、まだまだAが足りなくて、Aをぎゅっと抱き締めた。まるで駄々をこねる子どもみたいだ。
壱馬「嫌」
『ふふっ、直球』
駄々こね小僧な俺をあやすみたいにそっと俺の背中に手を回してくれるA。
隙間なくくっつく体。お互いの肩に頭を預け合って。
言葉数少ない空間で、ただ相手の温もりを感じる。
『……じゃあ、わがままひとつ、言ってもいいですか?』
壱馬「うん。何?」
『明日、お店が終わって帰った家に壱馬くんが居てくれたら、すごく嬉しいです』
そんなの、ずるい。
Aのわがままを聞き入れるのが大好きな俺に、そんなこと言ってくるなんて。
『……次の日のお仕事に影響がなければ、でいいんですけど』
でも、こうやって結局わがままを言うのはやっぱり得意じゃなくて、遠慮する部分が出てきちゃうのがまた愛おしくて。
それで余計に、彼女のわがままをいつも聞き入れたくなってしまう。
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M a(プロフ) - riku推しさん» riku推しさん、お付き合い頂きまして本当にありがとうございました!幸せというお言葉、嬉しくてたまりません😳 引き続きお付き合いいただけると嬉しいです!riku推しさんの作品も楽しみにしています☺︎︎︎︎ (2023年1月5日 22時) (レス) id: a3905d213c (このIDを非表示/違反報告)
M a(プロフ) - km0107さん» お久しぶりになってしまい、すみません!完結いたしました☺︎︎︎︎ いつもコメントありがとうございました!km0107さんの気遣い溢れるコメントにいつも励まされておりました。お付き合いいただきまして、本当にありがとうございました! (2023年1月5日 22時) (レス) @page43 id: a3905d213c (このIDを非表示/違反報告)
riku推し(プロフ) - Maさん🥺ステキな作品をありがとうございました!更新されるたび『あ!』ってなって、読んでる時間は幸せな時間でした!完結おめでとうございます!お忙しいとは思いますが体と相談しながら別の作品の更新を楽しみにしてます! (2022年12月26日 15時) (レス) @page44 id: 6429ca0a87 (このIDを非表示/違反報告)
km0107(プロフ) - こんばんは✨ そろそろ更新されてるかなと思ったら…お仕事忙しいようですね😅寒い日が続いてますので気をつけてくださいね☺️2人のお話も早く読みたいです😢 (2022年12月17日 21時) (レス) id: 2f284eb8ed (このIDを非表示/違反報告)
M a(プロフ) - km0107さん» それからまたしばらく空いてしまってすみません……!!いつも楽しみにして頂いてありがとうございます😭 思ったよりも時間が取れなくて自分でも驚いているほどなのですが、そのうち落ち着くかと思うのでもう暫しこのペースをご辛抱くださいませ😭 (2022年10月26日 23時) (レス) id: a3905d213c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M a | 作成日時:2022年9月6日 11時