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『そうだ、聞きたかったんですけど。何で鍵持ってたんですか?』
壱馬「あぁ。前に俺だけ早い時間に出なあかん時あったやん?あの、ちょっと気まずくなっちゃった日」
確かに、あの日は起きたらもう壱馬くんはいなくて、代わりにスマホにメッセージが届いてたなぁ。
壱馬「あの時にさすがに締めずに行くのはなぁ、と思って借りたのを持ってて。返し忘れてた」
『なるほど、貸してたこと忘れてました』
もうひとつ鍵はあるし、不便していない。…だったら。
『それ、良かったらそのまま持っていてくれませんか?』
壱馬「マジ?いいの?」
『はい。貰ってくれますか?』
いつでも来てもらって構わない。壱馬くんに、持っていてもらいたい。
壱馬「うん。マジで嬉しい。ありがとう」
ただの私の家の鍵で、喜んでもらえるなんて。
壱馬「俺の家の鍵、俺の分とオカンが持ってる分としか手元に無くて。Aの分、用意してもいい?」
『え、でも、』
壱馬「オカンのことが気になるのは分かる。でも、Aには渡しておきたい。オカンもいいよって言ってたし」
お母様まで……。
私も、あの家の鍵を持っていていいと思ってもらえているのが、嬉しい。
『……うん、欲しいです』
壱馬「良かった。っていうか、もうAの分発注しちゃってんねんけどな」
だから貰ってくれな逆に困ってたわ、なんて言葉を続けた。
私が鍵の話をしちゃったから、私にも渡せっていう圧をかけてしまったかと思っていた。
でも、壱馬くんは前から考えてくれていたんだ。
『ありがとう』
壱馬「俺もありがとう。これでいつでも来れるわ」
Aが居ないタイミングでも来ていいん?目を合わせてきて、いいよ、と言ったらやった、とまた喜んだ。
『でも、私がいないここに来るなら、お家でゆっくりした方がいいんじゃ?』
壱馬「そうやけど、ここで待ってたらAが帰ってくるんやろ?会えるやん」
おすまし顔でそう言うから、ふふっとつい笑ってしまった。
さらりとそういうことを言えてしまうのが、壱馬くんだなぁと思う。
『帰ってきたら壱馬くんがいるって、嬉しいんだろうなぁ……』
心の中で呟いたつもりだった言葉が、口からポロッと出てしまっていた。
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M a(プロフ) - riku推しさん» riku推しさん、お付き合い頂きまして本当にありがとうございました!幸せというお言葉、嬉しくてたまりません😳 引き続きお付き合いいただけると嬉しいです!riku推しさんの作品も楽しみにしています☺︎︎︎︎ (2023年1月5日 22時) (レス) id: a3905d213c (このIDを非表示/違反報告)
M a(プロフ) - km0107さん» お久しぶりになってしまい、すみません!完結いたしました☺︎︎︎︎ いつもコメントありがとうございました!km0107さんの気遣い溢れるコメントにいつも励まされておりました。お付き合いいただきまして、本当にありがとうございました! (2023年1月5日 22時) (レス) @page43 id: a3905d213c (このIDを非表示/違反報告)
riku推し(プロフ) - Maさん🥺ステキな作品をありがとうございました!更新されるたび『あ!』ってなって、読んでる時間は幸せな時間でした!完結おめでとうございます!お忙しいとは思いますが体と相談しながら別の作品の更新を楽しみにしてます! (2022年12月26日 15時) (レス) @page44 id: 6429ca0a87 (このIDを非表示/違反報告)
km0107(プロフ) - こんばんは✨ そろそろ更新されてるかなと思ったら…お仕事忙しいようですね😅寒い日が続いてますので気をつけてくださいね☺️2人のお話も早く読みたいです😢 (2022年12月17日 21時) (レス) id: 2f284eb8ed (このIDを非表示/違反報告)
M a(プロフ) - km0107さん» それからまたしばらく空いてしまってすみません……!!いつも楽しみにして頂いてありがとうございます😭 思ったよりも時間が取れなくて自分でも驚いているほどなのですが、そのうち落ち着くかと思うのでもう暫しこのペースをご辛抱くださいませ😭 (2022年10月26日 23時) (レス) id: a3905d213c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M a | 作成日時:2022年9月6日 11時