探してたもの、見つけたかもー２ー【藤原樹】

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樹side











北人「樹ー。今日夜ごはん行かない？」









仕事の合間、待ち時間に北人さんにそう話し掛けられる。









樹「すいません、今日彼女が家で待ってて」









北人「はっ？聞いてない、どんな子？」









樹「どんな子？可愛い子？」









北人「テキトーか。写真ないの？」









樹「ないっす」









こっそり撮った寝顔はあるけれど、そんなのは見せられないし。









北人「えー。ていうか、前の人と別れたばっかじゃん」









樹「まぁ。でもとっくに気持ちなかったんで」









ただ名ばかりの関係。

今思えば、あの俺は最低だった。









樹「今の子は……マジで大切にしたいって、思ってるんで」









北人「ふーん」









樹「興味無いなら聞かないでくださいよ」










言葉だけ聞いてたら険悪に感じるかもしれないけれど

表情は穏やかで、信頼があるからこそズケズケと言い合える。









北人「……やっぱ今日押しかけようかな、家」









樹「マジでやめて。Aちゃん怖がるから」









北人「へぇー。“Aちゃん”っていう子なんだ」









しまった。

その先、何かとその名前でイジられるのが目に見える。









北人「今家いるんでしょ？電話してよ、Aちゃんに」









樹「嫌っすよ」









北人「じゃあ、ビデオ通話」









樹「無理っす」









仮に俺は良くても、Aちゃんが良くないし。

なんか、二人が打ち解けるの目に見えるし。

まだ俺にも気遣われてる感じ若干するのに、それは悔しいから。









北人「ケチー。Aちゃんに樹はケチな男だよって言っちゃお」









樹「言えるもんならどうぞ。

北人さんの言葉より俺のこと信じると思いますけどね」









北人「腹立つー！」









俺の二の腕をぽこっと殴った北人さん。









そんな猫パンチみたいな貧弱なパンチ、痛くないですからね？









そんな会話をしていたら

先にボーカルがスタッフさんに呼ばれて、一人になった。









Aちゃんの話をしていたら、猛烈に恋しくなって。

家に帰ったら、そんな愛おしい人が待っているんだと思ったら

この後の仕事がどれだけでも頑張れる気がして。









《Aちゃんが家にいると思うと、めっちゃ仕事頑張れるんだけど》









撮影再開直前にそうメッセージを送って

仕事に戻った。











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