探してたもの、見つけたかもー２ー【藤原樹】

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１日あの喫茶店に居たら

服にもそれ以外にもコーヒーの香りが付くのは慣れたけれど

それを嗅がれたことはもちろん初めて。









『樹さんはお風呂済ませたいい香りでずるいです……！』









私を抱き締めてくれたときに香った石けんの香り。

個人的にすごく好きな香りだった。









樹「ふふ。ずるくない。

いいにおいだから嗅いでるんだもん」









コーヒーはたしかにいい香りでも

頭皮は確実に汗をかいているのです……！と

樹さんの腕の中から必死に抜け出す。









『樹さんの腕の中から逃げたいと思ったの初めて……』









樹「あーあ。さみしいなぁ、Aちゃんに逃げられたー」









『だから、ずるい……！！』









そんなこと言われたら戻りたくなっちゃうのに。









樹「ふふっ。じゃあ、早く抱き締めたいから、お風呂入ってきて？

俺の入った湯船気にならなければ浸かってくれていいし。

一日頑張った疲れ癒しておいで」









お水ありがとうねと頭をぽんほん撫でてくれ

ソファーで寛ぐマースの元に向かった樹さん。









『お風呂、行ってきます』









早く、樹さんにもう一度抱き締めてもらいたいから。

何も気にせず、樹さんだけを感じながら腕の中にいたいから。









その思いで、念入りに洗いつつ素早く済ませた。

自分の体が樹さんと同じ石けんの香りになっていく。

くすぐったくもあり、嬉しくもあった。









『お風呂ありがとうございました』









樹「おかえり〜」









マースを撫でながらスマホを構っていた樹さんは

私のことを自分の隣に誘った。









『もう、臭くないはずです！』









樹「だからそもそも臭くないって」









優しく微笑みながら髪に鼻を当ててきた。









樹「……でも、Aちゃんから俺と同じ香りするの、いいね」









樹さんの低くて落ち着いた甘い声が耳の近くで、そう呟いた。









そのまま間近にある樹さんの顔が少しずつ距離を詰めてきて

視界にいた樹さんがボヤけて見える頃には

唇がそっと重なっていた。









『……ふふっ、』









樹「かわいい」









そしてもう一度キスをしてくれた。











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