探してたもの、見つけたかもー２ー【藤原樹】

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Aside











樹「おかえり」









そう言って私を家に迎え入れてくれた樹さん。









ふわっと香る芳香剤の香りが

樹さんの家に来たことを実感させてくれる。









『ただいま』









少し恥ずかしいけどそう返したら

腕を広げてくれたから、そういうことかなって思って抱き着いた。









私のその勢いを受け止めてくれた樹さんも

私の背中と頭に手を回して、ぎゅっと抱き締め返してくれた。









樹「会いたかったよ、Aちゃん」









『私もです』









抱きしめ合ったまま顔を上げてそんな会話をすると

少し悪戯な表情がそこにはあって。









樹「私も、“何”？」









分かっているくせに言わせようとする。

でも、私からの言葉を待っている樹さんが可愛らしくて、愛おしくて。









『私も、会いたかったです』









少し抵抗したかったのに

気付いたら素直にぽろっと出ていた言葉。









聞けて満足してくれたのか、

私の額に口付けをした後、そっと唇を重ねてくれた。









すぐに離れた唇。









樹「ここ玄関だし、今はこれで我慢ね。それに……」









ふと、樹さんが自身の背後に視線を移すので

それを私も追うように視線を向けると。









『ふふっ、マース〜！』









扉のガラス窓からマースが

まだこっちに来ないのかと言わんばかりの眼力で

私たちの方をじーっと見つめていた。









樹「後ろからすげぇ視線感じた」









『んふふ。久しぶりなくせに樹さん独り占めすんなー！って圧ですね』









そっちじゃないっしょ、って笑う樹さん。









樹「てか、今日泊まっていけるんだよね？」









『はい。姉に連絡しました』









マースに手を振っていたら

意識を再び樹さんに戻されるように頭を撫でながら

お泊まりの再確認。









様々な都合で姉と２人で暮らしているため

外泊の連絡は必須。









詳しく追求されるとボロが出てしまう気がして

お姉ちゃんに恋人の存在はまだ明かしてないけれど

まぁ、何かしら勘づいているとは思う。









樹「男の家に泊まるなんて、お姉さん知ったら心配しちゃうね」









『……恋人の家なのに？』









なんだか悪いことをしてしまっているような感覚になってしまう。

樹さんはそんなつもりで言ったわけじゃないと思うけど。











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