きっと、この先もずっと。【川村壱馬】

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壱馬「わかってもらえてるなら、よかったです。で、今日は結局…？」







『ふふ。今日は、一人で帰ります』







壱馬「アカンか」







『ふふ』







きっとお互い、今日は送らせてもらえないし、送らせるつもりもないってわかりつつのやりとりだった。







でも、明らかに先程とは気持ちの軽さと俺らの距離感は違って。







壱馬「無事に帰れた連絡は…？」







『また食べに来て頂いた時にご報告させてもらいます』







壱馬「それほぼ意味ないやん」







『ふふ』







相変わらず連絡先も教えてもらえないみたいだけど。







『川村さんが心配してくださっているっていうだけで、守られている気がします』







少し恥ずかしそうにそう言うAさんはやっぱりずるい。俺がどれだけその言葉で嬉しくなるかも知らずに、そう言っているんでしょ？







壱馬「隣歩けたらもっと守れるのに」







『そ、それは…緊張して逆に上手く歩けないかも…』







壱馬「歩くのに上手い下手あるん？」







『右足２回連続で出しちゃったり、左手と左足同時に出ちゃったり…』







確かにそれは下手ですねなんてやりとりしつつ、そんな歩くのが下手なAさんもかわいいやろうなと勝手に妄想を膨らませていたのは俺だけの秘密。







壱馬「じゃあ、今日は大人しく帰ります。遅くなっちゃいましたけど、ほんまに気を付けて帰って下さい」







『ありがとうございます。川村さんも、お気つけて帰ってください。体調にも気を付けてお仕事頑張ってください』







壱馬「ありがとうございます。じゃあ、夜ごはん、楽しんで」







扉を出て、外からもう一度店内を見る。







照れたように小さく頭を下げるAさんに小さく手を振ると、控えめに手を振り返してくれて。







甘酸っぱい青春のような気持ちを抱えて帰路についた。

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