蛇の這う魔酒・10年間編

エリートの成せる技 ページ14

目的地に着くと、俺はドアを開けて中に入った。

「あら、突然帰ってきたわね。どうしたのよA兄さん」

「ソフィ、リリィとリコリスはいないか？」

「仕事よ」

「そうか。頼み事があったんだが」

俺の“頼み事”に、ソフィは俺がカナダに来た理由を思い出して厳しい顔をした。

「“組織”ね？何があったの」

「明後日までに男の居場所を絞ってアメリカに渡らないといけない」

ソフィは“現役時代”の厳しい顔に戻って俺の話を聞くと、携帯を取り出して電話を掛けた。

「もしもし、リコリス？A兄さんからお仕事よ。
私用の船か飛行機でも出してA兄さんをアメリカに送って。それからJFK(ケネディ国際空港)の監視カメラの映像解析して欲しいの。詳しいことはA兄さん本人から聞いてちょうだいよ」

言ったっきり電話をブツ切りするとソフィは俺にINSET本拠に行くよう急かした。

「さぁ、リコリスに頼んだから大丈夫よ。今からアメリカ行って、男の居場所もかなり絞られる筈。行ってらっしゃい！」

「全く手際がいいね、ありがとう。行ってきます」

ソフィは別れ際に俺にメープルシュガーのスコーンを持たせて見送ってくれた。

全く、元CSISのエリートな上にカナダ保安のエリート一族だからって職権濫用だな。
まぁ、この一族はそれだけじゃないんだけどさー……。

潜水艦→←明後日ですって

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