Scabiosa (ページ2)

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潤『俺、好きな人出来た』

潤からの突然の告白に、勢いよく水を吹いたのは今から２週間前のこと。

潤『ちょっと (笑) 汚いなぁ』

ケラケラと笑いながらさり気なく紙ナプキンを差し出してくれる。潤のこういう所がモテるんだろうな、と口を拭きながらぼうっと考えていた。

翔『誰？』

潤『同じ講義取ってる子』

潤は昔からとことん一途だった。

それなりに女子とも付き合っていたけど、どの子も潤に勝手に期待して、" がっかりした " の一言。

潤『大切に、してたつもりだったんだけどなあ…』

フラレた潤を慰めるのは、いつも俺の役目だった。

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運ばれてきたコーヒーを啜りながら潤をちら、と見ると、頬がほんのり赤くなっていた。

翔「次は上手くいくといいね」

潤「うん。ありがと」

照れたようにはにかむ潤を見て、俺の心までじんわりと暖かくなる。

……いいなあ、恋。

角砂糖を入れようとした潤の手が突然止まる。

ぽちゃん、と角砂糖がトングから滑り落ちた。

潤の視線を追うと、大きな黒いギターケースを背負った女の子と、明るい髪色の男。

固まったように動かない潤の唇が微かに震えていて、

ああ、潤が好きなのはこの子なんだと

嫌という程、はっきりと分かってしまった。

すっかり冷めたコーヒーの表面を、小さくなった角砂糖がゆらゆらと漂っていた。

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