黒の中の赤 ページ3
「ねぇ、コナンくん、組織の中にね、いたライって幹部について、知っていることはある?」
コードネームしか出てこないの、名前も、顔も、思い出せない。そう伝えると、コナンくんは昴の方を見て、口をあけたり、しめたり、とぱくぱくしている。どうやら、ライも昴と関係があるらしい。しかもおいそれと口に出せないこと。私は本当に、昴について、忘れているようだ。
「あの、姉さん、何か、些細なことでいいんです、何か思い出したら教えてください」
弟と名乗った昴から吐き出された言葉は、苦しくて辛くて、どうしたらいいかわからない、と言外に言っているようで。つい、手が伸びてしまった。
思ったよりさらさらとした髪ざわりにびっくりしながらも髪の毛をすくように上から下へとなでていく。触った時にびくり、と反応した昴は頭を私の肩に力なく置いてされるがままだ。ごめんね、そう言うと、大丈夫です。と返ってくる。君のその反応じゃ大丈夫に見えないんだけどな、と口には出さずにさらさらと髪の毛を撫でた。
頭を撫でながら、他愛もない話をコナンくんと昴としていたら、コナンくんのタイムリミットが来たらしく、バタバタと急いで帰っていった。相変わらずあの女の子には弱いんだなぁ、なんて考えてたら病室のドアが勢いよく開いた。昴かコナンくんが忘れ物でもしたのかな、と思ってドアの方を見ると、見慣れた金髪がたっていた。
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作者名:漣 | 作成日時:2019年4月14日 5時