第44話『世渡り上手』 ページ19
杏奈side
その時、小塚くんがおずおずと進み出た。
「あの、僕からも話があるんだけど・・・」
その口から、危険ドラッグの分析はとても無理だという言葉が出るのを聞いて、若武くんは目をむいた。
「おまえ、何言ってんだっ！それができなかったら、この事件、まるっきり解決しねーじゃん！どうすんだっ！！」
詰め寄られてる。めっちゃ可哀想。
小塚くんは、息を詰めながらつぶやいた。
「アメリカには、危険ドラッグの判定にも使えるっていう薬 物鑑定機器があるんだ。でも、これが日本の捜査に導入されるのは今年の4月以降で、しかも警察庁は、証拠として認めない方針らしいから、入手しても意味がないし・・・」
若武くんは、いっそう怒りを募らせる。
「機器なんかに頼るな。自力でやれよ。やる前から無理だなんて、おまえ、理社分野のエキスパートとして恥ずかしくないのかっ！？」
小塚くんはシュンとしてしまい、小さな声で言った。
「わかった。できるだけやってみる」
私はさすがに可哀想になり口を開く。
「もー若武くんったら、そんなに怒らないでよ〜。とにかく物を手に入れるのが先だし、それまでに小塚くんに分析方法を検討しておいてもらって、もしダメなら、別の方法を取ったらいいじゃない」
若武くんは怒りが収まらないらしく、トゲトゲしい目を私に向ける。
「別の方法って、そんなのあるのかよ」
私はニッコリ笑う。
「それを見つけることができるのが、KZっていうチームでしょ？若武くんは、そのKZのリーダーなんだから、当然、それに応えられるだけの力を持った男の子のはずだよ。そうでしょ？」
若武くんは褒め称えられたような気分になり、すっかり機嫌を良くした。
「まぁな。じゃとにかく物を手に入れるってことで。明日、カフェテリアに集合だ」
小塚くんは、「ありがとう」というように私に目を向けた。
それにニッコリとした私の後ろで、美門くんと彩ちゃんの話し声が聞こえる。
「杏奈ちゃん、だんだん若武の扱い上手くなってるよね」
「さすが神崎って感じだよな。超、世渡り上手。」
コソコソと話している彩ちゃんと美門くんに気づき、若武くんが声を上げた。
「そこっ、なに内緒話してんだ。話ならリーダーを通せっ！」
私は振り返り、彩ちゃんたちと顔を見合わせてクスッとした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 118人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「原作沿い」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
？かなかな - よろしくお願いします！澪さん！美門くんは誰がみてもかっこいい(笑)確かにかも😊外見だけじゃなくて、中身もいいもん！美門くんはまわりに気を配ったりもしてるからさらにね。なんか、あったことあるみたいになってる(笑) (2021年10月26日 19時) (
レス) id: d59fc0899f (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - ？かなかなさん» 名前の読み方は「みお」です！美門はもう誰が見てもかっこいいので私もすごく好きです笑 (2021年10月24日 11時) (レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
？かなかな - 凄い！見てみたら、お話増えていたし、澪さんから、お返事きてた！ちなみにこの『澪』って、どう読むんですか？「みお」とかですかね？それにしても、澪さんも美門君好きですかぁ〜。やっぱり人気な方ですね。美門君。私は、どっちかというと美門君の考え方に憧れてる？ (2021年10月24日 10時) (レス) @page41 id: d59fc0899f (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - 環さん» たまちゃんありがとう！今回は恋愛の絡みいっぱいにしてみました！喜んでもらえて嬉しいです！ (2021年10月23日 12時) (レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 澪ちゃんんんんん！最高、神レベルの最高！！！！！きゅんきゅんだよお！！最近いっぱい更新してくれてありがとう！！楽しみにしてますっ！！！！！ (2021年10月23日 10時) (レス) @page41 id: 940f9d3174 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：澪 | 作成日時：2021年7月6日 22時
