第36話『合成カンナビノイド』 ページ11
杏奈side
うまくいっているわりに不機嫌なのは、七鬼くんに素っ気なくされたからだろう。
ほんと、分かりやすいんだから。
「思いもかけず、上杉のマルウェア駆除に話が流れたが、」
若武くんの目は、既に消えた七鬼くんを睨むように画面を見すえていて、その言い方は、とてもいまいましそうだった。
「今後は、KZへの参加を求め、」
そこで言葉を呑んで、若武くんは怒鳴り声を上げた。
「おい美門、聞いてんのかっ!?」
美門くんに目を向けると、いつも落ち着いているはずの彼が、とても動揺し、焦っている様子だった。
「おまえさぁ、リーダーの俺が発言してんだぜ。敬意を持って拝聴、」
そこまで言った若武くんの口の前に、黒木くんが片手を出して止める。
「いいぜ、美門、言えよ」
美門くんは即、私の方を見た。
とても真剣な表情だったので、私は何となく背筋が伸びてしまう。
なんだろう。
「手鏡についていた臭い、どうもどっかで嗅いだことがあるってさっきから思っていて、今、思い出したんだ。合成カンナビノイド系の臭いだよ。間違いない」
みんながいっせいに真剣な顔になった。
私は合成カンナビノイドが何か分からず、首を傾げる。
上杉くんがかすれた声でつぶやく。
「マジ、かよ・・・」
若武くんが身を乗り出し、私にぐいっと顔を近づけた。
「おまえ、まさか、やってんのか!?」
何を?
小塚くんが息を呑んで私を見つめる。
「神崎、この手鏡っていつから使ってる?今日買ったとか?」
私は首を横に振る。
「1年前くらいからずっと使ってるよ」
黒木くんの目に、慎重な光がまたたいた。
「でも、神崎がやってるとは思えない。別の何かが原因だろ」
上杉くんが鋭い目を黒木くんに向ける。
「原因って、なんだよ。どういう状況になったら、合成カンナビノイドに関わる事態が起こるんだ。」
だから、合成カンナビノイドって何。
不審に思いながら私が口を開こうとした時、若武くんが鋭い声を飛ばした。
「その前に美門、何で合成カンナビノイドの臭い、知ってんだよ。やったことあんのか?」
みんなが美門くんを見る。
その視線には、《ヤバいぜ、おまえ。》という感じと、《意外にワルじゃん、すげぇかも。》という興奮した雰囲気が入り混じっていた。
訳が分からず、私は小塚くんに目を向けた。
「ねぇ、合成カンナビノイドって何?」
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?かなかな - よろしくお願いします!澪さん!美門くんは誰がみてもかっこいい(笑)確かにかも😊外見だけじゃなくて、中身もいいもん!美門くんはまわりに気を配ったりもしてるからさらにね。なんか、あったことあるみたいになってる(笑) (2021年10月26日 19時) (レス) id: d59fc0899f (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - ?かなかなさん» 名前の読み方は「みお」です!美門はもう誰が見てもかっこいいので私もすごく好きです笑 (2021年10月24日 11時) (レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
?かなかな - 凄い!見てみたら、お話増えていたし、澪さんから、お返事きてた!ちなみにこの『澪』って、どう読むんですか?「みお」とかですかね?それにしても、澪さんも美門君好きですかぁ〜。やっぱり人気な方ですね。美門君。私は、どっちかというと美門君の考え方に憧れてる? (2021年10月24日 10時) (レス) @page41 id: d59fc0899f (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - 環さん» たまちゃんありがとう!今回は恋愛の絡みいっぱいにしてみました!喜んでもらえて嬉しいです! (2021年10月23日 12時) (レス) id: 7aa13dcf7f (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 澪ちゃんんんんん!最高、神レベルの最高!!!!!きゅんきゅんだよお!!最近いっぱい更新してくれてありがとう!!楽しみにしてますっ!!!!! (2021年10月23日 10時) (レス) @page41 id: 940f9d3174 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2021年7月6日 22時