笑顔の仮面は知っている2【探偵チームKZ事件ノート】 (ページ48)

今日:2 hit、昨日:34 hit、合計:226,933 hit

第15話『ヤキモチ』ページ48

杏奈side

私だけに聞こえる声でそう言った美門くん。

私は目を丸くする。

どうしてムカつくんだろうか。

私は目をぱちくりさせて美門くんを見つめる。

全く美門くんの気持ちをわかっていない私を見て、美門くんはさらにムッとしたような顔になる。

「分からない？ヤキモチ妬いてるんだけど」

「え・・・？」

ヤキモチって・・・えぇ！？

もしかして美門くん、上杉くんに妬いたの？

何それ可愛い・・・！

私はにっこり。

「うれしーっ」

美門くんは私の頭を小突くと、いたずらっ子みたいな笑みを浮かべる。

「喜ぶとこじゃないでしょ」

「だって美門くんがヤキモチ妬いてくれるのレアだもーん。なになに？私の事取られるの悲しかった？」

からかうようにそう言ってみると、美門くんはムッとしたように眉を寄せ、ぷいっと顔を背けた。

わっ！機嫌損ねた。

「冗談だよ美門くん！機嫌直して〜！」

私は美門くんの肩を揺すって機嫌を取りに行く。

それを見た若武くんが声を上げる。

「おい、そこ、いつの間にかイチャつかない」

イチャついてるわけじゃないですけど。

私が美門くんの肩からパッと手を離すと、美門くんは一瞬若武くんに目を向けてから、私の肩に手を回して、自分の方に引き寄せた。

私は美門くんと肩が当たり、急接近する。

「なに若武、ヤキモチ？」

完全にからかいモードの美門くん。

若武くんは案の定怒って美門くんに飛びつく。

「きっさま！」

そんな若武くんを黒木くんがなだめ、私は美門くんの胸板を押す。

「近い離して・・・！」

「あれ。神崎、顔真っ赤」

美門くんに言われ、私は両手を頬にあてる。

美門くんは何故か嬉しそうにニヤニヤ笑っている。

この人はほんとにもう・・・。

私はジト目で美門くんを見る。

「さっきまでヤキモチ妬いてたくせに」

「なんとでも」

・・・美門くん、朝の事件のせいで結構ショック受けてたみたいだけど、もう大丈夫そうかな。

まだ少し落ち込んではいるみたいだけど、じきに癒えるだろう。

早く元気になってくれるといいな。