笑顔の仮面は知っている2【探偵チームKZ事件ノート】 (ページ42)

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第9話『専属探偵』ページ42

杏奈side

「砂原って、誰？」

美門くんが聞き、彩ちゃんが翔について説明した。

私は彩ちゃんの話を聞き終わってから、翔とは幼なじみな事を話す。

「で、諸君、今日集まってもらったのは。」

若武くんは間を取り、みんなの注意を引き付けてから口を開いた。

「我らが仲間、砂原君に、KZからCEO就任祝いを贈ろうと思ってるんだけどさ、どう？」

上杉くんが、つんと横を向く。

「良く恥ずかしげもなく、我らが仲間なんて言うよ。今まで忘れてたくせに」

若武くんは、割と調子がいい。

「若武見てると、ほんと実感するな、人間が成功すると、友達や親戚がやたらに増えるって話」

彩ちゃんと小塚くんがくすくす笑っていると、若武くんは、腕を伸ばして上杉くんを小突いた。

「おまえだって、もう忘れようって言ってただろーが。それに俺が砂原に祝いを贈るのは、壮大な計画があってのことだ」

壮大な計画？

「今や砂原は、大会社の社長だ。しかもバックには、富豪がついている。そこでだ、我々探偵チームKZは、砂原の会社の専属探偵として雇ってもらうんだ」

私たちは驚いて顔を見合わせる。

どうしてわざわざそんなことを？

「会社に雇われれば、当然、給料が入る。俺たちは、自分の小遣いをやりくりして調査をしなくてもよくなるんだ。それに13歳のCEO砂原が、同年代の探偵チームKZを抱えているとなったら、それだけで絶対話題になる。今に新聞やテレビが取材に来て、すっごく目立てる」

目立ちたいんだ・・・。

まぁ、らしいですね。

「どこが壮大なんだ。小っせぇじゃん」

呆れたように言う上杉くん。

「だいたい砂原に雇われたら、その下に入ることになるんだぜ」

上杉くんの口調は厳しかった。

「砂原の命令を聞かなきゃならなくなるだろ」

若武くんは、なんでもないと言ったように頷く。

「いいじゃん。それで注目浴びれるんなら、俺、砂原の靴を磨いてもいいよ」

上杉くんは、フンと鼻を鳴らした。

「冗談じゃねーよ。俺、反対」

若武くんは、彩ちゃんと小塚くんを見る。

「アーヤと、小塚は？」

彩ちゃんが困っていると、小塚くんが先に答えた。

「僕は、もし砂原がKZを必要としているんなら、という条件付きで賛成だな。つまり砂原を応援するつもりで、雇われるんだったらいいと思う。一緒に活動できるのは、楽しいしね。でも、会社を作ったばかりの砂原の、足を引っ張りたくないからさ」

彩ちゃんがそれを聞いて口を開く。

「小塚くんの意見に賛成」