笑顔の仮面は知っている2【探偵チームKZ事件ノート】 (ページ37)

今日:14 hit、昨日:61 hit、合計:226,897 hit

第4話『照れちゃう』ページ37

杏奈side

私は、塾にはマスクをしていくことにした。

ちょっとだけマスクからアザがはみ出てるけど、なんとか髪の毛で隠せば誤魔化せるだろう。

美門くんは隠しきれないだろうし、KZの集まり、来てくれるかな？

授業が終わると、私は談話室に行く。

談話室に来ていたのは、上杉くん、黒木くん、小塚くんの3人だけだった。

「あれ、神崎、風邪？」

小塚くんに聞かれ、私は適当に頷くと椅子に座る。

「若武くんたちはまだなんだね」

「うん。僕達が一番乗り」

私はバッグの中から数学の教科書を取り出すと、上杉くんに近づく。

「上杉くん。今日習った授業で分からない問題があるんだけど、教えてくれないかな？」

上杉くんは上半身をこちらによせ、教科書を覗く。

「どれ」

若干距離が近くてドキドキしてしまう。

私は少しだけ上杉くんと距離をとる。

と、上杉くんは怪訝そうな顔を私を見た。

「そんなあからさまに逃げることないだろ」

私はちょっと笑う。

「ごめん。男の子と距離近くなることあんまりないから、耐性ついてなかった」

黒木くんがそんな私たちを見て少し笑うと、艶やかな瞳で私を見つめる。

「慣れてそうで、意外と純粋なんだね。そういうところ、可愛いよ」

あっさりとそんなことを言う黒木くん。

私は体温がいっきに上昇する。

可愛いなんて、男の子から言われたことなかったかも・・・。

「おい、早くしろ。教えないぞ」

上杉くんに言われ、私は慌てて上杉くんと距離を縮めて教科書を見せる。

「ああ。これは────」

上杉くんに数学を教えてもらうのはこれが初めてだった。

びっくりするくらい分かりやすくて、あんなに謎だった問題があっという間に理解出来たんだ。

私は感動して、尊敬の目で上杉くんを見つめる。

「私にもわかった・・・！上杉くんすごい！ありがとう！」

私が教科書を持って飛び跳ねて喜んでいると、上杉くんは甘い口元に優しい笑みを浮かべる。

「よかったな」

その顔があまりにもかっこよくて、私は上杉くんに見とれてしまう。

上杉くんって、結構かっこいいかも。

なんて、失礼か。

私が教科書をバッグにしまっていると、若武くんが談話室に入ってきた。

そしてそれから数分後に、彩ちゃんもやってきた。

「よし、そろったな。後は美門だけだけど、遅いな」

あの顔だし、精神的にもきついし、今日来るか微妙かも。