笑顔の仮面は知っている2【探偵チームKZ事件ノート】 (ページ35)

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第2話『怪我』ページ35

杏奈side

「おい、この女どうするよ」

「今はやめとけ。とりあえず金だけ奪ってずらかるぞ」

男の一人が私の胸ぐらを掴むと、私の頬を思いっきり殴ってきた。

私は衝撃に耐えきれず、地面に倒れ込む。

その間に、男たちは私たちのカバンをあさり、金品を奪うと去っていった。

痛くて、苦して、うまく息ができない。

でも今は、美門くんたちの心配が先だ。

私は何とか立ち上がり、美門くんに駆け寄る。

美門くんの顔は悲惨なことになっていた。

片目の周りから頬にかけて、青あざで真っ青。

腫れ上がっていて、唇は切れていた。

下の前歯はとれていて、血が滲んでいた。

かけていた小塚くん特製のマスクは血で真っ赤だった。

他のふたりは見たところ、美門くんほどはやられていない。

美門くんは上半身をゆっくりと起こすと、私の頬に触れた。

「青あざできてる」

そう言うと、悲しそうに目を伏せた。

「守れなくて、ごめん。怖い思いさせた」

美門くんの方が酷い傷を負っているのに、こんな時まで私の心配をして、責任を感じている。

私の瞳にじわっと涙が滲む。

「私も、助けてあげられなくてごめんね」

私達はとりあえず学校に行き、職員室に行くと、先生たちに事情を話す。

そしてホームルーム開始のチャイムが鳴り、私と美門くんは、担任の薫先生と一緒に教室に向かう。

美門くんは私の前ではあまり表情に出さなかったけど、かなり悔しそうで、悲しそうで、泣いてしまいそうだった。

薫先生の後に続いて、美門くんと私が教室に入ると、みんなが私たちに注目する。

みんなが先生の背中の向こうにいる私たちをよく見ようとして、体を斜めにした。

そのとたん、誰もが息を呑んだ。

うわっ、と言った子もいた。

まあ、そりゃそうだ。

「美門、神崎、自分の席に行って」

薫先生は私たちを自分の席につかせると、みんなを見回した。

「今朝、登校中だった1年生バスケ部員3名とたまたま一緒にいた神崎が、目出し帽をかぶった男たちに襲われて金品を盗られた」

教室内がザワザワする。

「今、警察に届けてきたから、これから捜査が始まると思うが、場所は駅の裏側、時刻は6時半前後だ」

私は目を伏せる。

居心地が悪い・・・。

「襲った男たちの顔や年齢は、不明。今後は学校がわかるも見回りの教師を出すことになると思うが、早朝練習に参加する生徒は充分、気をつけるように。また持ち歩く金品は、必要最小限とするように」