笑顔の仮面は知っている2【探偵チームKZ事件ノート】 (ページ4)

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第51話『怒ってる？』ページ4

杏奈side

「立花」

M＆Mに向かうエレベーターの中で、上杉くんが言った。

「お前の怪しいデザイン画、描き直させてると時間かかりそうだから、描かなくていい」

彩ちゃんは若干頬が引きつっていた。

「イメージだけ話してもらって、俺が直接パターン化するから」

なんか上杉くんって、全部をストレートに伝えるから少し言い方がキツくなるのかな？

その言い方は誤解されるからやめた方がいいと思う。

「わかった」

そう言った彩ちゃんの声は無愛想で、私たちは驚いて彩ちゃんを見た。

彩ちゃんはみんなに背中を向けて、エレベーターの壁と向かい合った。

「おい立花、何だ、その不貞腐れた態度」

上杉くんが言う。

「おまえ、俺に言わせたいのか、やっぱ女ってめんどくせぇなって」

どんどん雰囲気が悪くなっていく。

「上杉、トンがるなよ。さぁ着いたぞ、降りようぜ」

黒木くんの声がし、その直後だった。

「あっ！」

若武くんが叫んで、エレベーターが大きく揺れた。

「いたっ！」

若武くんが床を蹴るようにしてエレベーターを飛び出していく。

「黒木、そっちに回れ。上杉、反対側」

指をさして命令しながら、自分はショーウィンドーに向かう通路を走っていく。

私は猫の足音が聞こえた。

若武くんはきっと猫を見つけたんだ。

私もエレベーターを出て、若武くんたちの手伝いをすることにした。

「逃がすなよっ！」

「若武くん、私も手伝う」

「いいよ。お前こういうの苦手そうだし」

・・・馬鹿にされてる？

「私、こう見えて動物とか捕まえるのは得意なの。だから、手伝わせてよ」

若武くんは考える余裕もなかったのか、私の申し出を受け入れてくれた。

若武君たちは必死に猫を捕まえる。

でも、若武くんも上杉くんも黒木くんも、みんな猫に弄ばれていた。

やっぱり、追いかけると逃げちゃうよ。

私はゆっくりと低姿勢で猫に近づいて、少し距離をとった所でしゃがむ。

猫が私に目を向ける。

私は猫と目が合い、ニコッと優しく笑う。

「おいで」

私がそう言うと、猫は少ししてから私の方に近づいて擦り寄ってきた。

私は猫のことを撫でる。

「よしよし。いい子」

私が猫を抱き抱えると、若武くんたちはぐったりした様子だった。

「最初から神崎に任せてればよかったかも」

「俺らいらなかったな」

「全くだ」

私はちょっと笑う。

「そんな事ないよ」

私たちは猫を抱えたままM＆Mに向かった。