笑顔の仮面は知っている2【探偵チームKZ事件ノート】 (ページ27)

今日:13 hit、昨日:14 hit、合計:226,354 hit

第74話『帰り道』ページ27

杏奈side

私と彩ちゃんは、2人で暗くなった道を歩く。

「それにしても、KZのみんなって本当にすごいね」

たくさんの知識と、圧倒的な調査力と推理力。

私にはないものばかり。

「私、全然なんの力にもなれてなくて、あそこにいるのが申し訳なかった」

彩ちゃんはにっこり笑う。

「私も、若武たちと一緒にいたらそう思うことばっかりだよ。でも、私には私にできることがあるから、それを見つけて一生懸命取り組めば、絶対にみんなの力になれるよ。杏奈ちゃんはまだ入団するって決まったわけじゃないし、落ち込まなくていいよ」

慰めてくれてるのがひしひしと伝わってくる。

私はニコッと笑う。

「ありがとう、彩ちゃん！」

いつか役に立てるかな。

私は右手を自分の右耳にあてる。

「私、KZにすごく興味が湧いてきた。よかったら、もうちょっとだけ見学してもいいかな。研究生みたいな感じで、仮入団続けたい」

「正式に入団はしないの？」

不思議そうにそう言われ、私はヘラっと笑う。

「それは、もうちょっとだけ待ってくれないかな。まだ自分に自信がないから、自信持てたら正式にお願いします。あ、そうだ」

私はカバンからペンとメモ帳を出して、そこに自分の携帯の番号を書くと、メモ帳をちぎって彩ちゃんに渡す。

「これ、私の携帯番号。何かあったら連絡してきてくれないかな？」

彩ちゃんは嬉しそうにメモを受け取る。

「うんっ！」

私と彩ちゃんは笑い合う。

それからいろんな話をして彩ちゃんの家まで帰った。

小学六年生に結成された探偵チームKZ。

これまでに解決してきた事件の話。

全部夢みたいにすごい話だけど、全部現実なんだ。

私も彩ちゃんも夢中で話していて、あっという間に彩ちゃんの家まで着いた。

「じゃあ、また明日」

「うん。送ってくれてありがとう」

私はそう彩ちゃんに手を振ると、1人で夜道を歩く。

人通りも少なくて、なんだか怖いな。

暗い。

暗い。

目を閉じると思い出す。

真っ暗で、狭くて、埃っぽい倉庫。

1人で耳を塞いで縮こまって、ただ泣いていた。

『出して！出してよ！！』

『怖いよ・・・』

『ねぇってば！誰かいないの！！ねぇ！開けてよっっ！！！』

私の心臓が嫌な音をたてる。

・・・最悪なこと思い出しちゃった。

私は空を見上げる。

真っ暗な空に光り輝くお月様。

今日、満月だったんだ。

「綺麗・・・」

その時、私の頬を一筋の涙が伝った。