笑顔の仮面は知っている2【探偵チームKZ事件ノート】 (ページ14)

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第61話『萌えるよね』ページ14

杏奈side

私たちはビルを出た。

そこで気づいたけど、私、男物の服着てるんだった。

なんたって若武くんの服だからね。

これで外に出るの、おかしくないかな？

あ、でも、黒木くんたちよりはマシかも。

ツンツルテンは嫌だもんね。

私は、上杉くんと話している若武くんに駆け寄る。

「若武くん。この服、洗ってから返すね」

「ああ。サンキュー」

そう言ってから、若武くんは私のことをじっと見つめた。

そして少ししてから、何故か頬を少しだけ赤くして目を逸らした。

その様子を見ていたのか、黒木くんがクスッと笑う。

「若武先生、自分から服貸しておいて今更すぎないか？」

ん？なんの話？

私が首を傾げると、上杉くんはケッというようにそっぽを向く。

「自分の服着てる女見て喜んでるとか、気持ち悪」

え・・・喜ぶ？

「テメー上杉！今なんつった！？」

上杉くんに今にも掴みかかりそうな若武くん。

でも、上杉くんはなんの躊躇いもなく若武くんを鼻で笑ってこう言ったんだ。

「聞こえなかったのか？気持ち悪いって言ったんだ」

若武くんは上杉くんに掴みかかる。

わっ！喧嘩！

「2人ともやめろ。神崎が困ってるだろ」

黒木くんが止めてくれたおかげで、2人はすぐに喧嘩をやめてくれた。

「何事？」

私が聞くと、黒木くんは肩をすくめる。

「男は、女の子が自分の服を着ているのを見たら、萌えるものなんだよ」

萌える？

そういうものなんだ。

若武くんに萌えられてるなら、嬉しいかも。

「神崎、若武に萌えられて嬉しいとか思ってる？」

黒木くんが艶やかな目を私に向ける。

心読まれた！

私は顔を赤くして俯く。

「だって憧れの人だし、若武くんかっこいいし、嬉しいよ」

私がそう言うと、上杉くんは驚いたように私を見る。

「お前、若武のこと好きなの？趣味悪くね？」

そういう好きじゃない！

趣味も悪くない！

「趣味悪いってなんだよ上杉！」

「そのまんまの意味だ」

「なにおーっ！」

また喧嘩を始めた2人を見て、私はクスッと笑う。

こんなによく喧嘩するってことは、とっても仲良いんだな。

二人を見てると、私も思い出しちゃうな。

『もう俺に近づくなよ。これ以上一緒にいたら神崎まで悪く言われるぞ』

『誰になんて言われようとどうでもいいよ。私はあなたと一緒にいたいの』

私の恩人。

また、会えないかな。