笑顔の仮面は知っている2【探偵チームKZ事件ノート】 (ページ13)

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第60話『応援してくれる？』ページ13

杏奈side

彩ちゃんはもちろん頷いた。

「顔隠して立ってるだけなら引き受ける。今回の事件は、何て言っても『若武KZ復帰大作戦』なんだから。力を合わせないとね」

若武くんはとろけそうな笑顔になった。

「ありがと。感謝する」

私はひとり絶望していた。

今何がどうなってるの？

私は何をすればいいの？

私がハテナを浮かべていると、エレベーターが地上につき、みんながそれぞれ降りていく。

私はみんなに続いてエレベーターを降りたけど、不安を感じていた。

まず、コッペリアって何？

物の名前？それとも曲？もしくは人名とか？

たくさんの疑問が頭の中をぐるぐる回る。

どうしよう。相談したいけど、何も理解してないなんて恥ずかしくて言えない。

上杉くんに相談したいけど、忙しそうだしな・・・。

「神崎、大丈夫？」

みんなの会話に参加してこない私を心配してか、黒木くんが声をかけてくれる。

「平気だよっ！」

私はなるべく笑顔でそう答える。

すると、黒木くんは大人びた笑みを浮かべる。

「もしかして、曲に関しての話が全くわからなかったとか？」

図星をつかれて、私は固まってしまう。

どうして分かるんだろう。

「ほんとにごめんなさい・・・」

私は頭を下げて謝る。

「今夜、曲に関してのことをLINEで送るから安心して。アレンジは小塚と俺と一緒に3人で考えればいいし。全部を1人で抱え込もうとしなくていいよ」

優しく言われ、私は眉を下げて黒木くんを見つめる。

「無駄な仕事増やしてごめんね」

「全然いいよ。みんなでゆっくりやっていこう。まだ完全にメンバーになったわけじゃないんだし、そんなに気負わなくても大丈夫だ」

黒木くん・・・優しい。きゅん。

「まあ、ある程度のことは神崎に任せるけど」

・・・ですよね。

「できそう？」

「・・・頑張るけど」

「けど？」

「黒木くんが応援してくれたら、もっと頑張れる」

少しだけ甘えてみると、黒木くんは私の頭に手を乗せた。

「神崎ならできる。頑張れる」

その手は大きくて、優しくて、とても安心した。

私は自然と頬が緩み笑顔になる。

「ありがとう、黒木くん」

なんだかこの感覚、懐かしい。

黒木くんといると、とっても安心する。