story.36 ページ38
顔を上げたままでいるのも今の私にとっては苦痛で、思わず視線を下に落とす。
何も言えないでいると、後ろから一つ足音が近づいてきた。
「上鳴…とA？」
「え''っ…いじろう…」
「なんだその嫌そうな声…」
「よう切島！さっきぶりだな！」
「おう。」
その聞き覚えがありすぎる声に驚き勢いよく振り返ると、案の定そこには切島鋭児郎が立っていた。
もはやタイミングを呪いそう。なんで今…。
朝から幼馴染の顔を見るのは別に嫌なわけじゃない、そこは全然嫌じゃないけど、なんで私の赤面姿を晒さなくちゃいけないんだろう。
どうにもこうにもバレたくなくて鋭児郎と視線を合わせないようにしていると、なにやら上鳴くんと鋭児郎が話し始めた。
「上鳴、Aどうかしたのか？お前なんかした？」
「俺のせいかよ、俺は素直にAちゃんに教えただけだって」
「教えた？なにを？」
「切島が今日の朝Aちゃんがいないときに俺に言ってきたことだよ。」
「……ハァッ！？」
上鳴くんは親切に教えてくれただけで、してきたのは鋭児郎でしょうが。
そう思ったものの、今この状況で私は鋭児郎に反論する気力もなかった。
無理、無理です。どうしてこうなったんでしょうか。もう耐えきれそうにないです。鋭児郎にはまた後で言いたいことを言おう、と思いながら私は二人をその場に放ったまま歩き出し校舎内に入る。
「あ、おいA！？上鳴にどこまで聞いたんだよ！！」
「それをなんで私に聞く！？もう今日はほっといてお願いだから！！」
「だからなんでお前はすぐ逃げるんだよ！？」
廊下にけたたましい足音と、私たちの言い合いというか怒鳴り合いとも取れる声が響き渡る。こんな状況先生に見つかったらしこたま怒られるだろう、それくらいに騒がしい。
その数分後、案の定二人が走り回っているところにオールマイトが遭遇し二人して仲良く叱られた。
元はただの幼馴染だった私たちが前と同じように平穏と暮らすのは、随分と先になりそう。
FIN
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 270人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ポコピ - 18話が神でした。切島の照れを想像して、心臓がドックンってなりました！ハァ〜もう好き！！切島好き！！ (2021年5月3日 23時) (
レス) id: d603d2b16a (このIDを非表示/違反報告)
名取(プロフ) - み た ら し 団 子 。さん» コメントありがとうございます、小説を通して楽しんでもらえたなら私も何より嬉しいです。切島くんはとても書きやすいので、またいつか挑戦しようと思います。応援とても励みになります、沢山のお言葉本当にありがとうございます……！！ (2018年10月3日 23時) (レス) id: 100ff026ee (このIDを非表示/違反報告)
名取(プロフ) - みみみんさん» コメントありがとうございます、本当ですか、可愛い内容に出来ていたなら私もとても嬉しいです。文章だけではなくイラストまで褒めて下さって本当に…嬉しいです、とても励みになります、ありがとうございます！！ (2018年10月3日 23時) (レス) id: 100ff026ee (このIDを非表示/違反報告)
み た ら し 団 子 。 - 読んでいてすっっごいキュンキュンしました！切島くん格好良かったです(照)これからも頑張ってください。応援してます！！ (2018年8月18日 19時) (レス) id: 97aeefcf66 (このIDを非表示/違反報告)
みみみん - 内容なんだか可愛くてすごいすきです！あと絵が綺麗で好みです() (2018年7月9日 1時) (レス) id: d0800b5536 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名取 | 作成日時：2018年5月16日 13時
