028-SG ページ28
＊
そろそろ早い奴らが移動してきそうな時間。
俺は屋上へ戻ろうと、
音楽室を出て階段を登り始めていた。
音楽室から出てまず、渡り廊下を渡り
職員室や指導室がある1階から
1年の教室がある2階へ。
その途中の踊り場で
上から降りてくる見慣れた顔が目に入り、
ふと感じる
「……デジャヴ。」
その体は俺の目の前で階段を踏み外して……
「って危ね……!」
慌ててその体を抱き留める。
デジャヴでもなんでもない、繰り返されたんだ。
「…何お前、確かに放送かかってたけど。
またなの?チェA。」
「…毎度すみませんユンギ先輩。」
体を座らせるように離してやりつつ
グループの方に連絡をとばす。
「なに、妨害?」
「いや、アフターケアです。」
じっと見ると、
目の焦点が合っていないA。
どういうことか、
言われなくても理解には易かった。
「行ってみれば、
『もう指導は終わってるから
ここに座って私達と話そう』と。
それであとはまぁ、想像通り。
私が反動を肩代わりしまくって帰されたと。
反動、前は先輩方のもあったので
気付かなかったんですけど何ですかこれ。
ユンギ先輩のとは比にならないくらい
視界がぼやけてるんですが。
ぼやけてる?というか暗い?というか。」
今日指導室にいるのは
異空間を作る奴と反動増強の奴。
恐らく2人の反動を肩代わりさせられた。
「それな、
あの、グガの空間版の教員いるだろ。
アイツの反動だよ。
ゲームの状態異常でいう暗黒みたいなやつ。
俺のは視力が悪くなるんだけど、
アイツのは目自体が見えにくくなるんだよ。
黒いモヤがかかったみたいに、違う?」
「そうです。そんな感じで。」
すると小さく震える俺の端末。
画面を見ると、
「ナムジュニから電話だ。
……もしもし?」
『あぁ、もしもしヒョン?
さっきのアレ、何なんですか?』
ため息混じりに問うナムジュン。
何…って。
「送ったまま。拾ったんだよ。」
『だから何をですか!』
「チェA。」
そして暫くの間。
『…え、待ってください。え?
チェ A?』
始めはなぜチェAを拾ったのかと、
そういう疑問をぶつけてきたんだと思った。
しかし小さな違和感。
それは続けられた言葉に納得した。
『ヒョン、そのチェAさんは
どのチェAさんですか?
もし園芸部の彼女であるなら、
なぜ俺が名前を認識できているんです?』
「あぁ、そのチェA。
今コイツ無効使えてないから、
それで名前が聞こえたんだろ。」
『はぁ!?』
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