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転校初日から、何となく嫌な気は感じ取っていた。
例えば?
例えば、敷地内に入った途端色んなところから突き刺さる視線とか。
例えば、お通夜のように静かな職員室とか。
例えば、生徒達の諦めたような目とか、引きつったような笑顔とか声とか。
例えば、先生の威圧的な笑みだとか。
挙げだしたらキリがないほど。
やっぱり噂は本当だったか。
私が転校してきたこの高校。
ここは、ある一定の確率で生まれた様々な超人的能力を持った人間のそれを鍛え、制御することに重きを置いているらしい。と社会貢献を詠いつつ、卒業後は記憶を消され人間兵器にされるという噂。
大概の人間は知らないまま入るんだろう。
そして学年を追うごとに知ってしまう
ネットや先輩を通じるか、或いは勘づくか。
私がなんでいるかって? 前にいたところが急に「きみにはもっと最適なところがある。紹介しておいてあげたから──」なんて言って私を放り投げたから。
まぁ、私の返答は『YES』か『はい』か『是』しかない。
まぁつまり簡単に言うと、人間としての人格は残り3年で消えるってこと。その後のことは─私の構うところではない。
「おい、チェ A。
聞いているのか。復唱しろ」
おっと、怒られてしまった。
「はい、復唱します。
私、チェ A。所属クラス、1B。
今から朝のSHR。
先生が転校生の紹介として私を呼ぶ。それまでは廊下で待機し、呼ばれましたら室内に入り、名前を名乗ります。能力のことに関しては公にはしません。
以上です。誤りはないでしょうか」
「よし。
では今からクラスに案内する。着いてこい。
それからうちの学校は、部活動の加入が義務付けられている。新しく作りたい場合はそれを設立することでこの学校にどう利益がでるのかをまとめた上で申し出ること」
背中を向け歩き出す担任兼生徒指導。
「はい。
1つ、質問をよろしいでしょうか。」
「なんだ」
振り向かないまま声が返る。
「園芸部は、この学校に存在していますか?
あるならそこに加入希望です。
ないようでしたらこの学校の緑化、また生徒達の集中力向上にも努められる点から設立を提案したいのですが」
「なるほど、筋は通っている。
当校に園芸部はない。よって設立を認めよう。
しかし校庭は他が使うため、屋上のみの使用になるぞ。まぁ南面だったから大丈夫だろう」
「はい」
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