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「やった、打てた!」
「い、今の何ですかヒョン!!」
ナムジュン先輩が驚いたようにジン先輩を振り向く。
恐らく私が見た感じだとバリアを小さく鋭くして遠くに飛ばしたように見えた。
そして攻撃を弾く要領で教師を吹き飛ばしたんだろう。
「んー秘密!能力の応用ってやつだよ、3年で習うの。」
「ちょ、先生、……気絶してる。」
「先生、そんなよそ見してていいの!?」
一瞬の目を離した隙にグク君がもう一人の教師も蹴り飛ばす。虚を突かれたのか数メートル下がってうずくまった。
それとほぼ同時に、消耗したのかグク君も膝をついた。
そこにジン先輩が駆け寄る。
「ナムジュニヒョン!今のうちに気絶してる方、縛っといて!!」
「あ、あぁ!」
太くて強そうな縄を持ってうずくまる教師の横をするりと抜ける先輩。
「……くそ、舐めやがって。
だが、お前らの弱点なんて把握しているんだよ。
なぁ、……チェA!!」
「ぇ────っぐ!?」
咄嗟のことで反応が遅れた2人を抜け素早く私へ距離を詰め、首を締め上げる。
「Aッ!!」
「グっ……ぅク、く──」
その手はどんどん高く掲げられ、その頭越しに3人がぼんやり見えた。
まぁ確かに、狙うなら私からだよな。
体力もないし、私が倒れれば能力も自由に使えるようになる。
やっぱり、教師に対抗しようなんて、馬鹿なことだったのかもしれない。
このまま殺されるのかな、それとも兵器?
どっちにせよ、兄と同じ運命ならまぁ悪くないかもしれない。
「A!!おい、諦めんなッ!!!
後ろが、がら空きなんだよ!」
目を閉じかけたとき、ぼやけた視界の隅で何かが金色に煌めいた。
と、解放される私の喉。
「ッゲホ、ぅぐ……ッ?」
なんで。
振り向くと、後頭部から血を流して倒れた指導教員と左腕が金色に変色したグク君。
その握りしめた拳には血がべったりと付着している。
「ごめんA、大丈夫?
これはまだ扱えきれてなくて……死なないように加減はしたけどよく分かんない。」
「大丈夫……それは能力、なの?でも透明化って……」
左腕を元に戻しながらゆっくり歩み寄るグク君。
ジン先輩が倒れた教師を縄でぐるぐる巻きにするのを見ながら、血のついていない右手を借り立たせてもらう。
「その話はあと。とりあえず指導教員ども、運び上げるぞ。
こちらジョングク、指導教員の拘束に成功。」
「オッケー、こちらホソク、ジミナの緊急保健医襲撃組。
こっちも大丈夫、終わったよ。」
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