022-JK ページ22
＊
昼休みになった途端
端末をチラリと見て立ち上がるA。
「どこに行くの。」
つい、語気と目線がキツくなってしまうのは
今朝の一件からしょうがないはずだ。
「3のC。
ユンギ先輩にメガネ返してくる。」
本当なのか?
「俺も行く。透明になるから。
でもユンギヒョンは多分音楽室か屋上だよ。」
施錠されない昼休みの音楽室で
ピアノを弾いているであろうヒョンを浮かべる。
俺も立ち上がって、透明になる。
「いや、今クラスにいるから
なるべく早く来いってメッセージが。
だから、行こうか。」
振り向くAを見て思う。
いつの間にヒョンと
連絡先を交換したんだろうか。
彼は淡白な人柄なので、
あまり人に連絡先を教える様子を
見たことがない。
不思議なこともあるもんだ、と
静かに彼女の後を着いて階段を上る。
本当に、不思議なことが起きている。
3年生のフロア、C組
……まぁユンギヒョンとジニヒョンのクラスの前で
起こっている状況に目を疑う。
まずは廊下から少しクラスを覗き込んだ途端
「あっ、Aちゃん!!」
と大声を上げてこちらに駆けつけてくる
ジニヒョンの姿。
それからジニヒョンの大声を聞いてか
伏せていた机から身を起こすと
「お、メガネかけてる。何かいいな。」
と訳の分からないことを呟きながら
笑顔で向かってくるユンギヒョンの姿。
何が、一体ヒョンたちに、
何が起きているんだ……?
えっそもそもジニヒョン、
今朝Aに指導で妨害されたんじゃ…?
なんでそんなニコニコしてるの?
ていうかユンギヒョンそんな甘かったっけ…?
なんでAの頭撫でてんの?
『A…お前……ヒョンたちに何を……』
Aが何かしたのかとそちらに目をやるが
本人も困惑した顔をしている。
多分これは分かってない。
「その…先輩方。いきなりなんですか…?
そろそろやめていただけますかね…
グクくんがとても困惑しているので……」
しかしヒョンたちはとまらない。
「グガ?そんなんほっときゃいい。」
「そうだよ。ていうか今日は
はるばる3年の教室までどうしたの?」
「あ、あぁ…ユンギ先輩のメガネを返しに…」
助けを求めるようにこちらを見るA。
そんなの知らないし寧ろ俺が説明を求めたい。
これは一体何の乙女ゲームだ。
「…あー、それ俺のメガネか。最高だな。」
「何が!?あーでも、分かるかも。」
「お二人共何を仰ってるんですか…
では私はもう行きますので。」
「おっけー。
あ、ジョングギは残留ね。」
『…は?』
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