★つづき ページ7
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「…数学の補習プリント、至急必要でなァ」
『なるほど、お疲れ様です』
天を仰いだ先生を慰めてあげた。
まぁ大方あの猪のことで悩んでんだろ?
分かるよ、私もなかなか大変だもん、あの子とコミュニケーション取るの。
『んじゃ、部活戻りますね』
軽く頭を下げ、コートの方へ。
3on3の練習は一通り終わっていて、選手は試合のチーム決めをしてるところだった。
『お疲れ様で〜す。はいこれ差し入れ』
「「「おおおおっ!!何それっっ!?」」」
『カナエ先生からだって。今開けるね』
テーピング用はさみでガムテープを切る。
スティックばさみ携帯なんて女の子らしいことしてないんだから仕方ない。
「「「おおおおっ!!!」」」
中に入っていたのはリストバンド。
ちょうどボロボロになってたんだよ今の。
今年は部費の関係で買えないかな?とか思ってたし助かるわ。
「じゃあ俺は黒で」
「ズル、それ数少ないじゃねーかよ!」
サラッと好きなものを取るカナタ、それにつっかかる善照。今日も平和だ。
「僕はどれにしよ」
『これは?水色。早いもん勝ちだよ〜!』
「…ん、これにする」
各々色を選び終わり、また練習。
カナエ先生効果か今日はみんな元気。
はりきってトラベリング起こしすぎな奴が約1名いたけど(善照)。
「……A」
『ん〜?何?』
みんなが帰った後の体育館、2人。
無一郎はいつも私の仕事を手伝ってくれる。
最後のボールを磨き終わった時、無一郎が小さく呟いた。
「これさ、何か…、書いてくれない?」
差し出されたのは、水色のリストバンド。
裏返されて、スポーツブランドのロゴが見えなくなっていた。
『何かってなんだ?』
「その…、応援メッセージ、とか」
『あーね』
よくあるやつね。先刻誰かやってたね。
カナタとかいうやつがお願いしてたね。
『いいよ』
「「「勝ったーーーっ!!」」」
最後の夏、最後のインハイ。
大きなアリーナに、私の声が響いた。
『お疲れ様ぁ、みんなぁぁ』
「どうしてマネが泣くの、いつも笑顔、でしょ?」
『無理ぃぃぃ』
涙で潤んだ視界に、鍛えられた腕が写った。
汗で色が濃くなってるけど、字は見える。
『…裏返してたの?』
「うん。頑張れるから」
【必勝! がんばれ無一郎!!】
掠れてるけど、ちゃんと読める。
ほんとに、勝てた。優勝だ。
『お疲れ様、無一郎』
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Nami - 冨岡さんとの甘々な話お願いします。少々ピンクとか…/// (2022年11月28日 16時) (レス) id: 7f8b02d024 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいこん(プロフ) - お酒さん» コメありがとうございます!!音柱様ぜひ書かせて頂きたいです!(ただし全年齢作品&作者自身未成年の為、あまり色濃くできないのでご了承を…)テスト前なので気長〜にお待ちいただけるとありがたいです(>.<) (2021年6月17日 19時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
お酒 - 宇髄さんが見たいです(^^)少しエ○く…とかってできますかね? (2021年6月17日 18時) (レス) id: 48240712ac (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - 吹雪さん» わっ……かりました。初書きになるので、遅いですし温かい目で見守ってください。 (2021年5月17日 20時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - むこぴさん» ありがとうございます! たぶん、絶対の時は三部作にする予定はなかったから伏線もほぼほぼないんですけど……笑 泣いていただけたなら嬉しいです。 (2021年5月17日 20時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さつむいこん x他1人 | 作成日時:2021年3月11日 18時