貴方の3分を下さい。【鬼滅の刃×短編集】

☆ 全部、自分が悪い【水】 ページ46

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「さよなら」なんて、言いたくなかった。


☆初の冨岡さんです。温かい目で見て……。

☆姉のアイデアを文章化。

☆最近現パロ多いのなんとかしたい。

☆ジャンル：姉お得意のシリアス




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ふと、目が覚めた。

いつも通りの、コーヒーの匂い。

彼は毎朝、ブラックコーヒーを飲む。

私は匂いでさえも苦手だった。


起きちゃったな、どうしよう。

できれば、ずうっと夢の世界に居たかったのに。

いつもなら早く起きたいと思う。

今日は、ずっと寝ていたいと思った。






『だって、義勇と一つも合わないもん！』


「Aっ、」


『……ごめん。義勇が嫌いなんじゃないの。

ただ、疲れたの。しんどいの。苦しいの』


「――全部、俺が悪い」


『っ、違う！！違うの、聞いて、』


「すまない」






……そんな顔させるつもりじゃなかったのに。

きっと彼はもう、決断している。

……嫌だなぁ。

でも、そうなることを否定できない。




だって、私が全部悪いから。




君のせいじゃないんだよ。

誰も悪くない。

勝手に怒鳴った私が、全部悪い。


嗚呼、このまま関係が終わるのかな。

引き留める権利なんて、私にはない。




……いちごみるく、飲みたいな。




眠りたかった。

知らないフリしたかった。

でも、結局いちごみるくに勝つことはできず。




『……おはよう』




同居人の後ろ姿に、そう声をかけた。




――――




「……相変わらずいちごみるくが好きだな」


『うん』




彼は、すぐにいちごみるくを入れてくれた。

ブラックコーヒーと、いちごみるく。

まるで正反対。


付き合ってすぐは気にならなかった。

同居しだしてから、いくつも気になる。




彼はお魚派、私はお肉派。

彼は苦いもの派、私は甘いもの派。

彼は小説派、私は漫画派。

彼はインドア派、私はアウトドア派。




なんでこんなに、違うんだろう。

どれかひとつでも一緒なら、

こうはならなかったのかな。

……もう、わからない。


何が正解なの？

そもそも、正解って何？

１＋１＝２、なら誰でもわかる。

じゃあ、すれ違いの計算式の答えは？


――――きっと誰にもわからない。




「A、」




沈黙を破ったのは彼だった。






「別れよう」






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