☆ つづき ページ30
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ただひたすら、爆走していた。
疲れて足を止めたのは、少し離れた公園。
そういえばここ、家族で来たことある。
夏。近くの公園は、花火禁止だったんだ。
だから、ここまで来て花火をしたんだ。
楽しかった。あの時は。
もう、戻らないんだろうな、あの日々は。
たぶん。
家出してすぐ帰るわけにもいかない。
それに、ここならすぐには見つからない。
ベンチに座って、適当にスマホをいじる。
母さんからはすでに2件のLINEが来ていた。
開きもせずに、スルー。
LINE欄にある連絡先は、母さんと父さん。
それだけ。
親友どころか、友達もいない。
クラスLINEもあるんだろうけど、招待されない。
まあ、ぼっちを招待する人なんていないし。
たぶん。
『帰りたくない……』
「……君、何してるの」
頭上から声がして、はっと顔を上げる。
見たことない顔だった。
同い年くらいだと思う。
長い黒髪に、浅葱色の硝子玉みたいな瞳。
かっこいいし、モテるんだろうな。
たぶん。
「その制服、英高校の制服でしょ。
今8時だよ。こんな時間まで何してるの」
『……あなたに関係なくないですか?』
「そうだけどさ」
『ちょっと、なんで隣?』
「君には関係なくない?」
彼は隣に座った。
くそぅ、そう言われると言い返せない。
頭がいいんだろうな。
たぶん。
「で、言ってみてよ」
『……名前も知らない他人だし』
「時透無一郎。2年1組、男子出席番号8番。
これで他人じゃないでしょ」
『……はいはい、こーさん』
これだから、頭いい奴嫌いだよ。
手を軽く上げて、笑ってみる。
言ったって、どうせ引くんでしょ。
「大丈夫」って何も知らずに言うんでしょ。
たぶん。
『両親が絶賛喧嘩中で、たぶん離婚する。
学校も空気が無理。絶賛ぼっち中。
家が嫌になって―――絶賛家出中』
「そっか」
ほら、引いた。
やっぱ、話すべきじゃなかった。
どこかで信じてたんだろね。
たぶん。
と、思ったら、紙切れを渡された。
『え? ……何これ』
「僕の連絡先」
『なんで……』
「助けてほしい時、いつでも連絡して。
言ってくれたら、
ドクン、と心臓が跳ねた。
たぶん、じゃなくて、絶対。
気づけば、彼はいなくなっていた。
残された手紙を握りしめる。
連絡、してみよう。
絶対。
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続編MY HERO
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Nami - 冨岡さんとの甘々な話お願いします。少々ピンクとか…/// (2022年11月28日 16時) (レス) id: 7f8b02d024 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいこん(プロフ) - お酒さん» コメありがとうございます!!音柱様ぜひ書かせて頂きたいです!(ただし全年齢作品&作者自身未成年の為、あまり色濃くできないのでご了承を…)テスト前なので気長〜にお待ちいただけるとありがたいです(>.<) (2021年6月17日 19時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
お酒 - 宇髄さんが見たいです(^^)少しエ○く…とかってできますかね? (2021年6月17日 18時) (レス) id: 48240712ac (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - 吹雪さん» わっ……かりました。初書きになるので、遅いですし温かい目で見守ってください。 (2021年5月17日 20時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - むこぴさん» ありがとうございます! たぶん、絶対の時は三部作にする予定はなかったから伏線もほぼほぼないんですけど……笑 泣いていただけたなら嬉しいです。 (2021年5月17日 20時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さつむいこん x他1人 | 作成日時:2021年3月11日 18時